【五輪レース前半振り返り】世界王者のベテラン・セティアワン&アッサンがレースをけん引!<男子ダブルス>

8月のビッグイベント、第25回世界選手権(スイス・バーゼル)で6個のメダルを獲得した日本代表は、9月上旬の強化合宿を終え、17日から開幕する中国OP(常州/Super1000)に参戦する。ここでは、来年の東京五輪出場をかけた五輪レースが始まった5月から8月までの前半戦を振り返りながら、中盤戦(9月〜12月)に向けて各種目を展望していく。

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【男子ダブルス】

5月から始まった五輪レースは、世界選手権を終えた時点でトップ選手が出場する上位大会(Super500以上)4大会を消化した。男子ダブルスは下記の選手たちが結果を残している。

インドネシアOP(S1000)

優勝:ギデオン/スカムルヨ(インドネシア)

準優勝:セティアワン/アッサン(インドネシア)

3位:李俊慧/劉雨辰(中国)、保木卓朗/小林優吾

ジャパンOP(S750)

優勝:ギデオン/スカムルヨ(インドネシア)

準優勝:セティアワン/アッサン(インドネシア)

3位:李俊慧/劉雨辰(中国)、園田啓悟/嘉村健士

タイOP(S500)

優勝:シェティ/ランキレッディ(インド)

準優勝:李俊慧/劉雨辰(中国)

3位:遠藤大由/渡辺勇大、高成炫/申白喆(韓国)

世界選手権

優勝:セティアワン/アッサン(インドネシア)

準優勝:保木卓朗/小林優吾

3位:李俊慧/劉雨辰(中国)、アルディアント/アルフィアン(インドネシア)

前半戦MVP級の活躍を果たしたのは、ともに30歳を超えるベテランながら、8月の世界選手権を制したセティアワン(写真左)/アッサンだ。7月のインドネシアOP、ジャパンOPでは、後輩のギデオン/スカムルヨに優勝を譲ったものの、世界選手権では他国のライバルたちを撃破して3度目の世界一を成し遂げた。

そんな二人の強さの秘密は、1試合を通してブレることのないゲームメーク力。アッサンの強烈なスマッシュから、セティアワンが前衛で仕留める基本スタイルは変わらないものの、体力やパワーの衰えを隠すことができないぶん、サービス周りのうまさや、絶妙なペース配分など、試合巧者ぶりがより目立つようになっているのだ。

さらに、もともとミスの少ないペアではあったが、ラリースピードの緩急やつなぎ球の精度は増しており、リスクの少ないラリーを軸にポイントを奪うこともできる。駆け引きの面でも他ペアよりも経験豊富なため、常に先手を打って試合をコントロールしている印象だ。五輪レースも、ペアとしてはリオに続いて2回目。セティアワンは4回目のチャレンジだ(北京は別ペアで金メダル、ロンドンは出場できず)。1年間を通した戦い方も熟知しているだけに、疲れが残る後半戦を戦い抜くためにも、この中盤戦で五輪レースの安全圏をしっかり確保しておきたい。

このインドネシアペアに続くのが、中国の2大巨塔、李俊慧(リ・ジュンフイ/写真右)/劉雨辰(リュウ・ユチェン/中国)か。4大会の結果を見てわかる通り、ワールドツアーで準優勝1回、ベスト4が2回、そして世界選手権でも銅メダルを獲得している。優勝こそないものの、安定感は抜群だ。ツアー出始めの頃は攻撃面が大きく目立っていたが、最近ではディフェンス面の強化に成功している。スマッシュが甘くなればあっという間に攻守が入れ替わり、主導権を奪われることも多い。五輪レースは初めてだが、前半で高ポイントをつかんでいるだけに、中盤戦に行なわれる9月の中国OP、11月の福州中国OPの地元2大会で結果を残し、レースを優位に進めておきたい。

このほか、世界選手権では結果が振るわなかったギデオン(写真右)/スカムルヨは、大舞台での失策をすぐにワールドツアーの好結果につなげてくるのが、ここ最近のパターン。持っている実力は世界ナンバーワンであるのは間違いなく、レースにおける主役は当然、この2人となる。中国OP、韓国OPと9月の大会で勢いに乗れば、その後も連続Vにつなげてくる可能性も十分。最も警戒しておきたいペアとなるだろう。

日本勢はどうか。勢いでは、世界選手権で銀メダル、インドネシアOP4強の結果を残した保木/小林(写真左)だ。今年3月までは日本勢4番手の位置に甘んじていたが、4月のマレーシアOP準決勝進出で手応えをつかみ、その後の2大会の好結果につなげた。保木のゲームメークと小林の強烈なアタックがマッチすると手がつけられなくなる。今後は他国からのマークをどう振り切るかが、上位浮上への鍵となりそうだ。

一方、5月から8月までの4カ月間を通した結果を見ると、園田/嘉村、遠藤/渡辺がリードする。園田/嘉村はジャパンOP4強と世界選手権8強、遠藤/渡辺はタイOP4強とインドネシアOP・ジャパンOP8強のポイントのほか、どちらもS300の大会で上位結果を残している。2ペアにとっては決して満足する結果ではなかっただろうが、逆に中盤戦に向けて気合を入れ直す機会となったはず。園田/嘉村、遠藤/渡辺の巻き返しには期待大だ。

大会では上位成績こそ残していないが、虎視眈々と上をねらうのが韓国、台湾、マレーシア勢。韓国は若手の催率圭(チェ・ソルギュ)/徐承宰(ソ・スンジェ)に加え、ベテランの高成炫(コ・スンヒュン)/申白喆(シン・ベクチョル)も着実にポイントを蓄えている。また、2月からペアを組み始め、猛烈な勢いで世界ランクを上げている台湾の王齊麟(ワン・チーリン)/李洋(リー・ヤン/写真奥)や、マレーシアのゴー・V・シェム/タン・ウィーキョン、アーロン・チア/ソー・ウィーイクなども、この先ジャンプアップする可能性を秘めている。

2014年世界選手権優勝の高成炫(左)/申白喆(韓国)。ともに一度は韓国代表を引退したが、再びペアを結成。現在は代表に所属せずに個人でレースを転戦している

■9月以降の主要大会

9月/中国OP(S1000)

9月/韓国OP(S500)

10月/デンマークOP(S750)

10月/フランスOP(S750)

11月/福州中国OP(S750)

11月/香港OP(S500)

12月/ワールドツアーファイナルズ(中国・広州)

文/バドミントン・マガジン編集部

写真/BADMINTONPHOTO

投稿日:2019/09/16

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