We Love Badminton 第4回 池田信太郎さん(元日本代表)

interview_700_296元日本代表選手やバドミントン経験を持つ著名人に、バドミントンとの関わりや自身が感じる競技の魅力を語ってもらうこのコーナー。第4回は、オリンピックに2大会連続で出場したほか、男子ダブルスだけでなく「イケシオ」ペアとして混合ダブルスでも活躍した、池田信太郎さんです。

 

池田信太郎

いけだ・しんたろう◎1980年12月27日生まれ、福岡県出身。岡垣ジュニアで競技を始め、九州国際大付高―筑波大を経て日本ユニシスへ。07年世界選手権で日本男子初の銅メダルを獲得したほか、08年全英OPでは21年ぶりとなる4強進出、08年(男子複)、12年(混合複)と2大会続けて五輪に出場するなど、世界の第一線で活躍。9月8日から行なわれるヨネックスOPジャパンで現役を退く。

 

 

バドミントンの魅力は「成功体験」の積み重ね

――バドミントンを始めたきっかけを教えてください。

池田 父がクラブのコーチをやっていて、その影響で気付いたときにはラケットを振っていたという感じですね。クラブに入ったのは小学校2年生くらいで、中学生までそのクラブにはいました。最初は遊び感覚で始めたというのが“入口”だったと思いますね。

 

――最初にやってみて、どんな感想を持ちましたか。

池田 すごく面白かったです。バドミントンはラケットの面が少しずれてしまえば自分が思ったところに飛びません。最初からはうまく当たらないんですが、当たったときの喜びというのはいまでも覚えていますね。それが徐々に遠くへ飛ばせるようになっていくんです。父や他のコーチがシャトルを投げて当てるところから、思いきりラケットを振ってうまく当たったときの喜びは忘れられません。

 

――小学校の頃から活躍されていましたが、好きで取り組んだことでいい成績を残せたのか、あまり好きではなかったけど頑張ったから成績を残せたのか、どちらでしたか。

池田 前者ですね。楽しいということがすごく大きかったです。6年生くらいまでは、大会でも比較的勝てたほうでした。練習でも自分なりにちょっと変えたり、面白くアレンジしたりしていましたね。どうやったらシャトルをネットのギリギリに落とせるんだろうとか、どうやったら相手の逆を突けるんだろうといったことは、小学生の頃からすごく考えていましたね。

 

――コーチに教わらずに、自分で。

池田 はい。自分で考えていたし、それがおもしろかったですね。たとえば、クリアーを打つと見せかけてドロップを打つとか。そういったことで相手の逆を突くとか、自分の思い通りにできるという喜びを、小さい頃に感じたのが大きかったのかなと思います。

 

――小学生から始めてこれまで長い間プレーされていますが、バドミントンの魅力はどういうところにあると思いますか。

池田 スマッシュの初速に代表されるようなスピード感やパワーもありますが、それだけではなく、その力をうまくコントロールして、技術的な要素で試合をプランニングして勝ちに結びつける要素もあります。

一言でいうのはすごく難しいんですが、“成功体験”の連続が競技のおもしろさではないかと思っています。というのは、あれだけ速いスピードでラリーが続く一方で、クリアーなどによる大きな展開もあって、ラリー中に「相手がこっちに打ってきたら、自分はこう打とう」「ここに打って返されたら、こっちに打とう」と常に考えながらプレーすることになります。そのなかでポイントを重ねていって、“21点”というものがあると思うんです。

自分の思い通りの球を出したときはポイントにつながります。自分が主体的に考えられて、それが成功に結びつく。もちろん負けるときもあるけど、そのなかにも自分が思い通りにできた部分、「あの場面でいいショットを打てた」といった満足できる部分もあるはずです。自分が主役になれて、成功体験が比較的積み重ねやすいのではないでしょうか。

 

――それは初めて聞く考えです。

池田 僕もいろいろな人から聞かれるんです。「何が面白いの?」と。速いスマッシュを打つ爽快感という人もいますが、「あれだけ打てれば、そりゃおもしろいよね」と考える人もいるでしょう。でも、プレーする方がたくさんいるなかで、この競技は何が根本的におもしろいんだろうと考えてみると、自分が考えて、自分で実行して、それが成功するという体験こそが、おもしろいのではないかと思うんです。

 

講習会やトークショーなど、バドミントンの魅力をより多くの人に伝えるための活動を精力的に行なっている
講習会やトークショーなど、バドミントンの魅力をより多くの人に伝えるための活動を精力的に行なっている

 

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投稿日:2015/09/07
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