【全日本総合2020】奥原希望がベテランの快進撃をストップ!山口と決勝で激突!<準決勝ダイジェスト-3>

12月26日に開催された第74回全日本総合(東京・町田市立総合体育館)5日目は、5種目の準決勝が行なわれた。ここでは、熱戦となった女子シングルスのダイジェストを紹介する。

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【女子シングルス】

2回戦、準々決勝と日本代表を連破して準決勝に勝ち上がった広島ガスの下田菜都美。昨年の全日本社会人女王が挑むのは、今大会の第1シードで、2年ぶり4回目の日本一をねらう山口茜(再春館製薬所)だ。下田は「公式戦(の対戦)は初めて。どこまで通用するか試したい」と、挑戦者の気持ちで世界トップクラスの山口にぶつかった。

第1ゲーム前半は、山口が下田のミスを誘いながら点差を重ねて6-1とリード。ようやく硬さもほぐれた下田も11-10と1点差まで追い上げたが、中盤は山口の多彩なショットが決まり出す。下田を左右に動かしてペースをつかむと、13-11から7連続得点。「我慢して点差を離せた」という山口がそのまま押し切り、第1ゲームを先制した。

第2ゲームに入っても、ペースは山口が握ったまま。世界レベルのスピードで試合をコントロールすると、7-6から13-8と差を広げる。ねばり強く拾った下田(上写真)も13-12まで迫ったが、「中盤にやや追い上げたのは、茜ちゃんがペースを落としたから。競ることはできても、スピードを上げられると力の差を感じた」と振り返るように、ここから6連続失点。最後は20-14のマッチポイントを制した山口が勝利。決勝の切符をつかんだ。「決勝はまずは自分がしっかりいいプレーをしていきたい」(山口)

女子シングルスもう一つの準決勝は、2連覇をねらう奥原希望(太陽ホールディングス)と16年総合女王の佐藤冴香(ヨネックス)が対戦。2人がそろってA代表だった時は、苦楽をともにしてきた仲。「一緒に戦ってきた戦友」と語る佐藤、そして「プレーヤーとして学ぶことが多かった先輩」と称した奥原が、日本最高峰のコートで激突した。

第1ゲームを先制したのは奥原。「スタミナ切れをしてもいいから、1ゲーム目からガンガンいった」と仕掛けてくる佐藤に対し、冷静に球をさばきながらポイントを奪い16-9。「(佐藤は)パワーがある選手。昨日の選手とはキレが違うというのは覚悟していた」という奥原は、後半もスピードを上げてベテランの攻撃を封じる。大ケガを経験している相手とはいえ、たくさんの修羅場をくぐってきた佐藤は誰よりも侮れないプレーヤー。長く時間を過ごした仲間だからこそ、その手綱を緩めることはなかった。

21-15で奪った後の第2ゲームも、主導権を握り続けたのは奥原だ。「熱くなり過ぎず、冷静にしっかり判断できた」というように、徐々にショットのキレを失う佐藤を引き離す。最後は21-10。奥原が2-0のストレートで完勝した。

決勝進出を決めた奥原は試合後、「A代表にいる時から、すごく助けてもらった一人。先輩への感謝の気持ちを込めて、今日は思いきり戦いたい気持ちがありました」と、涙を流しながら戦友との一戦を語った。一方、敗れた佐藤(上写真)は「組み合わせを見たときに『当たりたいな』と思っていた試合。負けはしましたが、すごく楽しくできました」と、日本最高峰の舞台で戦った後輩との勝負を振り返った。

▼準決勝

山口茜(再春館製薬所)②〔21-14、21-14〕0●下田菜都美(広島ガス)

奥原希望(太陽ホールディングス)②〔21-15、21-10〕0●佐藤冴香(ヨネックス)

▼決勝

山口茜 – 奥原希望

取材・文/バドミントン・マガジン編集部

写真/菅原淳

投稿日:2020/12/26
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