【バド×スピ! 連載〈第14回〉】「最後まであきらめなかったことは今後につながる」

奈良岡功大

小学生時代から頭角を現し、全国大会の男子シングルスにおいて“史上初”や“最年少記録”などの偉業を次々と成し遂げる奈良岡功大(浪岡高校2年)。この連載では、そんなスーパー高校生の日常や素顔に迫っていく。連載第14回は、銅メダルを獲得したユースオリンピック(アルゼンチン・ブエノスアイレス/10月7日~12日)について振り返ってもらった。また、Q&Aのコーナーでは、読者からのお悩み相談に答えていただく。

皆さん、こんにちは!
今月はユースオリンピックについて振り返りたいと思います。

ユースオリンピックでは、男子シングルスと団体戦(※)の2種目で銅メダルを獲得することができました。男子シングルスは金メダルをめざしていたので、準決勝で負けたことは悔しいですが、その後の3位決定戦に勝ってメダルを取れたのはうれしかったです。

今大会に参戦した3名。帰国後、笑顔で写真に納まった。左から奈良岡功大、井田貴子監督、水井ひらり(ふたば未来学園) 写真提供/日本協会
ユースオリンピックに参戦した3名。帰国後、笑顔で写真に納まった。左から奈良岡功大、井田貴子監督、水井ひらり(ふたば未来学園) 写真提供/日本協会

試合は予選リーグからキツかったです。日本からブエノスアイレスへの長距離移動は予想以上に大変で、体に痛みもありましたし、体育館の床が固くてやりづらさもありました。それに、たとえレベルの差があっても、大きな大会とあって、みんなすごく頑張ってくるので手ごわい相手ばかり。オリンピックは、1点がなかなか取れないものなんだと感じました。

その“1点の重み”を一番感じたのは準決勝です。相手は過去2回戦って負けたことのないインドのラクシャ・セン選手。1ゲーム目はいつも通りのプレーをして21‐14で取ったのですが、2ゲーム目は自分のミスが増えてファイナルゲームに突入。「あれ? どうしよう」と思っているうちに、ファイナルは0‐11と離されてしまいました。でも、ここから「やるしかない」と思って作戦を変えたら、21‐20で逆転。それでも“あと1点”が取りきれず、最後は22‐24で負けてしまいました。

でも逆に、3位決定戦ではファイナルゲームの接戦を22‐20で勝ちきることができました。相手のアルノー・メルケル選手(フランス)は長身でパワーがあって、フェイントもうまいしスマッシュも速い。自分は準決勝の影響で、試合前から足がつりそうになっていました。でも、絶対にメダルが欲しかった。応援してくれている人のためにも、メダルを取りたかったんです。試合は2ゲーム目を24‐26で取られてファイナル勝負になってしまったんですけど、最後は気持ちで勝てたと思います。

今回、最後まであきらめなかったことは、今後につながると思います。もうすぐ開幕する世界ジュニアでは、今回優勝した中国の選手も倒したいですし、インドの選手と対戦できればリベンジしたい。目標は金メダルです!

ユースオリンピックで獲得した銅メダル。男子シングルスでは日本初のメダルだ(左は表、右は裏の写真) 写真提供/本人
ユースオリンピックで獲得した銅メダル。男子シングルスでは日本人として初のメダルだ(左は表、右は裏の写真) 写真提供/本人

~現地での”ウラ話”~

卓球・張本智和選手の活躍が刺激に

バドミントンの試合は12日に終わったのですが、その後もしばらくアルゼンチンに滞在。研修プログラムのなかで世界トップ選手の指導者の方の講習を受けたり、他競技の会場に行って日本の選手を応援したりしていました。

会場に行ったのは、アーチェリー、フットサル、卓球など。卓球の張本智和選手(JOCエリートアカデミー)とは選手村で同部屋になり、友だちになりました。お互いの競技のことを話したりするなかで仲よくなって、じつは今大会、どちらがいい色のメダルを取れるかを勝負していたんです! 先に張本選手の銀メダルが決まっていたので頑張ったんですけど、結果は自分の負け……。15歳の彼のプレーを見てすごいなと思ったし、自分も負けていられないと刺激になりました。

現地では食事など、なにかと苦労した部分もありましたが(苦笑)、その選手村での生活を含めていい経験になりました! この経験を、今後にしっかり生かしていきたいです。

(※)団体戦は男子4名、女子4名の計8名でチームを編成。予選リーグはグループAとBに分かれて行ない、その順位によって決勝トーナメントの組み合わせが決定する(8チームすべてが決勝トーナメントに進出できる)。団体戦の種目は男女シングルス各2試合、男女ダブルス各2試合、混合ダブルス2試合の計10試合。スコアを継続するリレー形式で行ない、第1試合は11点マッチ。第2試合は第1試合のスコアを継続した状態でスタートし、どちらか一方が22点を取った時点で試合が終了する。スコアは第3試合に引き継がれ、先に合計110点を取ったチームが勝利となる。

奈良岡功大選手に聞く!
☆なんでもQ&A☆

Q.試合や練習中、先生によく「声を出せ」といわれますが、なかなかできません。それが敗因になっているのか悩んでいます。奈良岡選手はどうしていますか?(中学生・男子)

A.自分自身は、無理に声を出すことはありません。ただ、点数がほしいときや、ここぞというときに点数が取れたときは、自然と声が出ます。そこで流れをつかめることもあるし、勢いに乗っていけることもあると思うので、声を出すのは、やっぱり大事なことではあると思います。

でも個人的には、無理に出すことはないと思います。ずっと声を出すと、疲れてしまいますしね(笑)。時と場合によって使い分ける感じでいいかなと。

ただ、ダブルスは勢いが大事だったりするので、最初からガツガツいくこともあります。集中しきっているときは声を出さないことのほうが多いですけど、集中しきれていないときは、声を出して勢いで持っていくことも。パートナーと2人で気持ちを盛り上げたり、相手に向かっていくときに気持ちを奮い立たせる意味でも大事なことかなと思います。

★奈良岡功大選手への質問募集!

送り先…◎Eメール:bad@bbm-japan.com ◎FAX:03-5643-3841◎郵便:〒103-8482(株)ベースボール・マガジン社 バドミントン・マガジン編集部&バド×スピ!編集部「一本集中 Q&A」係まで。さまざまな質問、お待ちしています!

Profile

奈良岡功大◎ならおか・こうだい 2001年6月30日生まれ、青森県出身。浪岡南小-浪岡中。小学時代は全国小学生大会単3連覇、全国ABC大会単5連覇を達成。中学時代は全国中学校大会単3連覇という前人未踏の記録を打ち立てた。同年9月には、高校2年までが出場する全日本ジュニアで最年少V(16年・17年連覇)。高校1年時にはIH準優勝、選抜では優勝を果たした。そのほかにも、全日本総合本戦出場や日本ランキングサーキット単3位、18年は大阪国際準優勝など、国内外のシニアの舞台でも存在感を放つ日本のホープ。日本B代表。174㎝69㎏。血液型B。

構成/バドミントン・マガジン編集部
写真/江見洋子

投稿日:2018/10/31

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