オリンピック使用球はこうして作られる!〜ヨネックス「トーナメント」の製造現場に潜入!〜2

シャトル作りの主な工程

1 羽根とコルクの選別

羽根とコルクをそれぞれシャトル用にカットし、羽根は曲がりや反りによって選別を行なう。1枚ごとに異なる特徴を踏まえ、出来上がりのバランスも考慮しながら16枚が選定される。コルクは重さを計量して、その重量ごとに選別する。シャトルは重さに制限がある(4.74~5.50グラム)ので、コルクの重さによって全体の重さも変わってくる。

シャトル工場

 

カットされた羽根

写真の左右方向の湾曲は「曲がり」(上写真)、前後方向の湾曲は「反り」(下写真)という。1枚1枚でその様子に違いがあるほか、それぞれの羽根の中央に走っている羽軸の太さなどもさまざまだ。

 

2 羽根植え

カットと選定を終えた16枚の羽根をコルクに植える。精密な機械を用いて植え込んでいく。

ヨネックス・シャトル工場潜入!
写真の左側にある羽根の台が動き、右端にあるコルクに植え込まれる

 

羽根が植えられたコルクの断面

ヨネックス・シャトル工場潜入!
写真のような角度と深さで羽根が1本1本植え込まれている

 

3 微調整

16本の羽根がコルクに植え込まれたあと、安定した飛行が生まれるように、職人が全体の形状や羽根の広がり方のバランスなどをチェック。一つひとつシャトルを手にとり、軸に傷がないかなども見る。バランスが悪ければ、羽根を手で植え替えることもある。

 

 

4 接着

羽根とコルクの結合部分、また2本のかがり糸と羽根の部分を機械によって接着する。接着剤の重量管理が最大のポイントになる。

 

5 飛行の検査

シャトルが出来上がったら、飛行距離(12mが基準)、飛行軌道、ブレなどをチェックする。機械によって打たれたシャトルが飛んでくる様子を職員が一つひとつ目視で行なう。

シャトル工場
(上写真)右〔写真外〕から、機械によってシャトルが連続して打たれる。職員は飛行の様子をチェックするとともに、床に落ちる前にシャトルをキャッチして、そのまま落下する地点にあるケースにシャトルを落としていく。この時点で軌道や距離が不適切なものは振り分けられる  (下写真)職員の足元にあるケースの拡大。ケース1マスの幅は25㎝であり、すべてのシャトルの落下点が50cm以内に収まっている。落下点のバラつきが極めて小さいことがわかる

 

6 耐久性の検査

飛行の検査のほかに、耐久性の検査も定期的に行なっている。職員によって一定時間、実際にシャトルを打ち合うものと、機械を用いて行なうものの2つの方法がある。それぞれ羽根やコルクの状態をチェックする。

シャトル工場潜入
スマッシュにおけるインパクト前後の連続写真(左から)。インパクトの瞬間、シャトルが原型をとどめていないほどつぶれており、大きな衝撃を受けているが、徐々に復元していく様子がわかる。高い耐久性もシャトルにとっては重要な要素だ

 

 

 

7 外観&傷の検査

飛行の検査をクリアしたシャトルは、最終的にもう一度、経験抱負な職員の目と手によってチェックされる。軸や羽根に傷はないか、接着が甘くないかなど、複数の項目を短時間で効率よく検査する。

ヨネックス・シャトル工場潜入!

ヨネックス・シャトル工場潜入!
軸や羽根に一定の力を加え、曲げることで傷の有無の確認を行なう徹底ぶり。パスしたものをラインに流してパッケージに封入

 

8 完成&出荷

箱詰めされたパッケージに職員が検定済みのシール貼って“完成”。このあとラッピングして各地に出荷される。

ヨネックス・シャトル工場潜入!
段ボールに入ったパッケージにシールを貼る

 

 

森敏昭・工場長に聞きました!

厳選された素材が「トーナメント」になる

「トーナメント」の羽根は、中国の指定した地域のガチョウのものしか使用しません。一般的にシャトルに使える羽根は片方の翼から7枚しかとれないといわれていますが、「トーナメント」に使える羽根はそのなかでも片方の翼で2枚しかありません。

「反り」と「曲がり」も程度によって5段階に分類され、5×5で計25種別に振り分けられますが、そのなかでトーナメントに使えるのはわずか4種別のみです。コルクについても、他のモデルのものより高価で品質のよいものを使用しています。厳選された素材のなかから、さらに厳選されたものだけが「トーナメント」になるのです。

 

飛行&軌道、回転数検査も厳しく

飛行の検査の「軌道」については、シャトルの構造上、受け手から見て時計回りで回転しながら飛行するので、通常は進行方向に向かってやや右に曲がります。まっすぐ飛んでもダメですし、曲がり過ぎてもダメ。この曲がり幅にも基準を設けているほか、飛行の「ブレ」についても、飛行中の不自然に揺れ方に基準を設けて職人がチェックします。

このほか「回転数」もチェックします。これもシャトルの品質を左右する重要な要素です。機械を使用しますが、こちらも基準値を設け、実際の数値によって振り分けていきます。細かい数値は企業秘密ですが、ほどよく回転するものが「トーナメント」になるのです。

すべてのシャトルに共通しますが、シャトルは気温や湿度・気圧によって飛距離が変化します。暑い場所や気圧の薄い高地ではよく飛びますし、気温が低くなると飛ばなくなります。こうした特徴を踏まえながら、どのような環境下でも選手に有利・不利が生じないように、一定の飛行性能を保たねばなりません。また、高い耐久性を保つためにも、当社では厳選された素材と長年の技術を用いて生産にあたっています。

 


投稿日:2014/07/09
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