【イベントレポート】五輪金メダリストの王齊麟ら海外トップ選手が石川県かほく市で復興支援イベントに参加! 『レジェンドビジョン・クリニック・ジャパン』開催

7月12日のイベント後、同日の参加者と選手で記念撮影

7月12日、13日の2日間、石川県かほく市の鳥野菜みそBLUECATS ARENA(かほく市総合体育館)において、『The Legends’ Vison Clinic Japan (レジェンドビジョン・クリニック・ジャパン)– Ishikawa』が開催された。レジェンドビジョンは、バドミントンの普及や競技のメジャー化をめざして世界各地でイベントを開催しているが、今回の石川県でのイベントは、昨年の能登半島地震で被災した被災地の復興支援イベントとして開催。より被害の大きかった能登地域をはじめ県内の河北郡内灘町以北在住の小中高校生を対象に、7月15日に開幕するダイハツ・ジャパンオープンに出場する世界トッププレーヤーがミニゲームなどで交流を行なった。

昨年できたばかりの『とり野菜みそBLUECATS ARENA』(かほく市総合体育館)で開催
男子ダブルスで五輪2大会連続金メダルを獲得した王齊麟(台湾)
ガブリエラ・ストエワ(右)とステファニ・ストエワ(ブルガリア)

SUPER750というワールドツアーの中でもグレードの高いジャパンオープンを控え、子どもたちと羽根を打つために石川入りしたのは、東京五輪とパリ五輪の2大会で男子ダブルス金メダルを獲得した王齊麟(ワン・チーリン/台湾)、女子ダブルスのガブリエラとステファニのストエワ姉妹(ブルガリア)。当初、参加予定だった桃田賢斗は腰のケガのため残念ながら来場できなくなったが、トナミ運輸の齋藤駿、目崎駿太郎、藤澤佳史、地元の金沢学院クラブから下農走がピンチヒッターを務めた。

子どもたちと2対1でミニゲームを行なう王齊麟
2分ずつで交代。最後のポイント後は、優しくハイタッチ
齋藤駿らトナミ運輸の選手たちが隣の富山県から来場。「講習会は年に何度かやっていますが、石川の子どもたちは元気がいいですね」と齋藤

12日、13日とも各100名の参加募集だったが、それ以上の申し込みがあり、集まった子どもたちはトップ選手たちと羽根を打つ貴重な時間を楽しんだ。石川県バドミントン協会の寺西了理事長は「当初、震災被害の大きかった能登で行なうという提案もあったのですが、まだ体育館には被害が残っているところもある。この時期でしたらエアコンが使用できないと厳しいので、昨年できたばかりのこの体育館で開催するのがいいだろうと」と、かほく市で開催することになった経緯を説明。さらに、「能登の学校では、グラウンドに仮設住宅があったり、まだ完全に使える状態ではないところも多い。練習場所も自由にとれない。今回は、そうした地域からも子どもたちが参加しています。参加している子どもたちの中には、震災で用具をすべて失くしてしまった子たちもいます。そうしたときに、メーカー各社から用具を提供してもらって、子どもたちは競技を再開することができたんです」と、この地域の競技の復興状況について教えてくれた。

12日には、かほく市の油野和一郎市長も来場。「ジャパンオープンに出場するための調整に忙しいときに、選手の方々にはいらっしゃっていただき、感謝申し上げます。参加する皆さんの中には被災された方もいらっしゃると思いますが、前を見て進めんでいけるような機会になればと思っています」と挨拶した。

参加者や観覧する保護者を前に、挨拶するかほく市の油野和一郎市長
イベントの後半は、7点マッチのエキシビションマッチ。ストエワ姉妹はトナミ運輸の藤澤/齋藤と対戦
エキシビションマッチの主審をしたジュニアと一緒に
王齊麟は金沢学院クラブの下農走とのペアでプレー
主審および線審を務めてくれたジュニアと記念撮影

約1時間、子どもたちと打ち合ったり、エキシビションマッチを行なったトップ選手たちは、汗だくになりながらも、「子どもたちが楽しんでいる姿を見て、バドミントンの楽しさを伝えられたのかなと思うと、とてもうれしい」(王齊麟)「こんなに多くの子どもたちとふれあえるなんて、とても楽しくてハッピーな時間でした」(ガブリエラ)「ブルガリアでは、こんなに大きな規模でスポーツクリニックをやることはないので、この場にいられるのをうれしく思います」(ステファニ)と笑顔。前日に、石川入りした王齊麟は、宿泊した金沢で神社を訪れたといい、「ここはとてもリラックスできる環境。癒されました」と話していた。

イベントの最後には、参加ジュニアたちにサイン色紙とヨネックスバッグのプレゼントが! 海外のトップから直接手渡され、子どもたちはジャンプして喜んでいた

レジェンドビジョンは、バドミントンを世界のメジャースポーツにしたいと願う林丹(リンダン/中国)、リー・チョンウェイ(マレーシア)、ピーター・ゲード(デンマーク)、タウフィック・ヒダヤット(インドネシア)、李龍大(イ・ヨンデ/韓国)らのレジェンドの活動を支援するために、ヨネックスが展開するプロジェクト。2015年からスタートし、各国でレジェンドが集まりイベントを開催するなどして、世界でバドミントン人気を盛り上げていくために大きな貢献を果たしてきた。2025年5月には、中国でワールドツアーイベントを開催。2025年はレジェンドビジョンの10周年の節目であり、世界各地の主要トーナメントと並行して『ライトタッチイベント』を世界12カ国で開催することが発表された。その第一弾が、今回、能登半島地震の被災地復興支援イベントとして開催された形だ。

取材・文&写真/バドミントン・マガジン編集部

 

投稿日:2025/07/14

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