【全日本総合2020】「優勝できたことで次からは堂々とプレーできる」(桃田)決勝/選手コメント-10

12月27日に開催された第74回全日本総合選手権(東京・町田市立総合体育館)最終日、男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの決勝戦が行なわれた。ここでは、男子シングルスを優勝した桃田賢斗の優勝会見の様子をお伝えする。

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桃田賢斗
(NTT東日本)

決勝戦結果:常山幹太(トナミ運輸)に2-1で勝利

――決勝戦を振り返って。

1ゲーム目にすごく足を動かすことができて、出だしも自分が主導権を握っていい感じに進めることができました。でも、終盤リードした時にちょっと焦ったというか、そこの戦い方が、試合慣れしていないこともあってちょっとバタバタしてしまった。いつもだったら3点差で、余裕をもってラリーをしようと思う場面も、点数がほしいと思いすぎてギリギリをねらって。チャレンジで判定が覆るなどして、戦い方がよくなかったと思います。

2、3ゲームはとりあえず返そうと思いました。技術、戦略関係なく、強い気持ちを持って、足を動かして、相手よりも1本でも多く返そうと思ってプレーした結果、最後、相手もだいぶ足にきていたと思いますし、気持ちで勝つことができたかなと思います。

――昨年と比べて自分に足りないものは。

ショットの精度に自信がないので、ギリギリをねらえず、相手に強打されないところに運ぼうという展開が多かった。今までは、相手のウイニングショットをあえて引き出して、それを返してから自分の得意パターンに持っていく戦い方でした。でも、今はウイニングショットを打たれないように、大事に大事にプレーしている。そこでスピードが上げられなかったり、自分の思うような展開にならない。自分が主導権を握れる展開にならないのかなと思います。

――慎重さが影響して、らしくないミスが出てしまった?

そうですね。大事に大事にいきすぎて……。自分はコツコツ積み上げてきたものをコートで出していくスタイル。やっぱり、ある程度結果を残してから、ちょっとずつ自分に自信がついていくというか。今回は久しぶりの試合だったので、1球1球がすごく不安だった。一度も王者としての風格が自分の中で感じられなかった。でも、今回優勝することができて、次からは堂々とプレーできるかなと今は思います。

――試合を終えて、ホッとしたのか、うれしいのか。

ホッとしたのが7割、うれしいのが3割という感じです。やっぱり「世界ランキング1位の桃田」と言われると、どうしても負けてはいけないという気持ちになります。自分の中でも楽に世界ランキング1位になったわけでもなく、自分で積み上げたものが形になった。経験や力をつけてきて、負けたくない気持ちがすごくあったので、そのプライドで踏ん張れる部分もありますけど、当然プレッシャーもあるわけです。そのプレッシャーに打ち勝てない自分の弱さも、今大会で感じたので……。そこは明日からの練習で取り組んでいきたいなと思います。

――ファイナルゲームの苦しい場面で、最後にギアを上げられた要因は?

終盤、常山選手が疲れているのが見えました。自分はまだまだ動けるというのが、気持ち的にも体的もあったので、もう出しきろうと思って、フルスピードで動こうと思いました。それがよかったと思いますが、それだけ余裕があるなら、「1、2ゲームにもっと出せよ」という感じもありますよね。そこの思いきっていけない気持ちの弱さが、今回は5試合を通してよくなかったところだと思います。

――大会の最初から不安や緊張について口にしていた。久しぶりの実戦で、楽しさは感じたか。

そうですね。試合中の相手との駆け引きもそうですし、うまくいかないながらも試行錯誤していく、なんともいえない、「いきたいけどいけない」、でも「いかなきゃやられる」という展開は、今日はすごくありました。試合に入る前のソワソワ感というか、体が冷たくなるような何とも言えない感じなんですけど……。試合に向けて緊張しているなと感じたので、そこは久しぶりに……。自分を客観視して変な感じなんですけど、試合を楽しめているなというのは感じましたね。

――コート上のインタビューで感謝の気持ちを伝えていた。今日は「感謝の呼吸」のプレーでしたか。

今日のレベルではまだまだ「柱」にはなれないなと感じました。まだまだ足りないところが多すぎる。でも、ファイナルゲーム終盤、16-15で常山選手がダイブして取れなかった時に、モップタイムがあったんですけど、その時にNTT東日本のベンチを見て、「この人たちがついているからオレは勝てる、絶対勝てる!」って強い気持ちを持つことができたので、「感謝の呼吸」は、ちょっとは披露できたかなと思います。

――去年と今年の優勝の違いは。

自分の勝手なイメージですけど、去年の全日本総合は、レースでいうと、自分がだいぶリードしているところから走って単独ゴールというイメージ。自信もすごくありましたし、バドミントン生活もすごく充実していました。「普通にラリーしていたら勝てる」と、圧倒的な自信がありました。でも、今回は横並びからでスタートで、本当に誰が優勝するかわからない状態。苦しいところで最後、もう足が動かないところからひと踏ん張りできたのは、やっぱり地道にトレーニングしていた成果もあると思います。トレーニングをしていたぶん、強い気持ちになって表れたと思うので、今回の優勝は自分の中ですごく自信になりました。

――今後の目標は。

年明けからタイOPが始まります。次は海外の選手とやっと試合ができるので、自分の力がどこまで通用するか、日本のエースとしてしっかり自覚を持って挑んでいきたいなと思います。

取材・構成/バドミントン・マガジン編集部

写真/菅原淳

投稿日:2020/12/28
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