【バド×スピ! 連載〈第20回〉】「ライバルのクンラビット選手とは、いつかトップの大会で戦いたい」

小学生時代から頭角を現し、全国大会の男子シングルスにおいて“史上初”や“最年少記録”などの偉業を次々と成し遂げる奈良岡功大(浪岡高校3年)。この連載では、そんなスーパー高校生の日常や素顔に迫っていく。連載第20回は、優勝を果たしたインターハイ青森県予選、東北大会、そしてモンゴル国際チャレンジの3大会について振り返ってもらった。また、Q&Aのコーナーでは、読者からの質問に答えていただく。

皆さん、こんにちは! 6月は3大会に出場しました。まずはインターハイ予選の青森県大会から始まり、山形での東北大会を終えた直後には、モンゴル国際チャレンジに出場。東北大会は3日間で13試合していたので、モンゴル国際では連戦の疲労が溜まっていました。

でもなぜか、大会序盤から絶好調で、格上にもライバルにも勝って優勝。大会前は標高が高い会場と聞いて不安はありましたが、シャトルが非常に飛ぶ環境でもしっかり対応していけましたし、“読み”も当たることが多かった。相手のミスもうまく誘えたと思います。

標高が高く、「球がめちゃめちゃ飛んだ」という会場。奈良岡選手(右)はさまざまな経験を積みながら、環境にしっかり対応する力を身につけている

準決勝は、第1シードのインド選手が相手。彼は日本のA代表が出るワールドツアーSUPER500の大会にも出場していて、世界ランキングは41位(編集部注:奈良岡選手は88位)と格上でした。でも、以前一度対戦して勝つことができていたので、戦い方はわかっていたんです。まずは、相手のフェイントに気をつけること。そして、自分から攻めることを意識していけた。ねばり強い選手ですが、コントロールにも気をつけて、思った以上に苦労をせずに勝てたと思います。

今大会の一番の山場は、やはり決勝戦ですね。相手は同世代でライバルのクンラビット・ビティサラン選手(タイ)。世界ジュニアの決勝(2018年11月)で負けていますし、今大会、あらためて強い選手だと感じていたので、最初は勝てると思っていませんでした。実際、球質やスピードなど、これまで対戦した選手とすべてが違った。最初は驚いて対応できませんでした。1ゲーム目は、9-21。自分が守りに入ってしまったのも悪かったです。

2ゲーム目からは「行くしかない」と思い、ガツガツいきました。そうしたら、案外点数を取っていけたので、そこから自信を持ってプレーすることができました。

このゲームを21-17で取って、3ゲーム目は一進一退。どちらも引かずに終盤まで競ったんですけど、最後、22-21でマッチポイントを握ったとき、「ここにきそうだな」という読みが奇跡的に当たったんです。勝った瞬間は、読みが当たった驚きと、勝てたうれしさがこみ上げてきました。じつは、決勝戦の日は誕生日。「今日誕生日だし、勝ちたいな」という気持ちもあったので(笑)、勝ててうれしかったです。

クンラビット選手とは、これで4勝4敗。今後もたくさん対戦していく選手だと思うので、切磋琢磨して強くなりたい。いつかトップの大会で試合をしたいです。

ライバルのクンラビット選手(左)と。表彰台で握手を交わし、健闘を称え合った

インターハイでの目標は「優勝」

いよいよ今月末(7月31日~8月5日/熊本県八代市ほか)には、インターハイが開幕します。最後の夏の目標は、やっぱり優勝。まずは団体戦で勝って、勢いに乗りたいです。

県大会と東北大会では、3種目で優勝することができました。とくに競ったのは東北大会の団体戦。聖ウルスラ学院英智との準決勝も、ふたば未来学園との決勝戦も3-2での勝利でした。高校選抜で優勝したからといって、プレッシャーを感じることはなかったです。むしろ、自分たちより強いチームはたくさんあるので、少しでも気を抜いたら負けてしまう。気を抜かないようにしようという話は毎回していました。

自分としては、エースとして絶対に勝たなきゃというふうには考えず、試合を楽しめていました。インターハイは、今回以上に厳しい戦いになると思いますが、みんなで一緒に頑張っていきたい。それができれば、結果はついてくると思います。いつも通り、一戦一戦、頑張ります!

奈良岡功大選手に聞く!
なんでもQ&A

Q.2017年インターハイ準決勝の金子真大選手(現・トナミ運輸)との試合を見て、とても感動しました。3年生を相手に、1ゲーム目は大きく点差を離されたところから見事逆転。2-0で勝利しました。当時のように大差をつけられたとき、奈良岡選手はどんなことを心がけてプレーしていますか?(中学3年生・男子)

A.あの準決勝は苦しい試合でした。1ゲーム目、11-19までリードされてしまったんです。当時考えていたのは、「どうせ取られるなら、2ゲーム目につなげるプレーをしよう」ということ。相手を回していったら疲れてくれて、段々点数が入ってきたので「いけるんじゃないか」という気持ちに変わりました。最後は、29-27で逆転。やはり負けたくなかったので、最後まであきらめたくなかったです。

2017年山形インターハイ準決勝で逆転勝ちを収めた奈良岡。第1ゲームを29-27で制すると、第2ゲームは9本と圧倒した

いまも2年前と変わらず、大差がついても逆転をねらっています。あきらめたように見せて、“じつはねらっている”みたいなところがありますね(笑)。相手が気を抜いた瞬間がねらい目ですから。それに、先を見すえて、相手がここでスピードを上げれば、ここで足が止まるかもしれないということは考えます。もちろん、自分がどこでスピードを上げられるのかも。駆け引きですよね。こういう駆け引きも、逆転には必要なことかなと思います。

編集部TOPICS
“奈良岡式フットワーク”が凝縮されたDVDブックが発売中!

今年3月の全国高校選抜大会で男子団体の頂点に立った浪岡高校。その浪岡高校の監督を務め、ジュニアから高校まで、各年代で選手をトップレベルへと導いている奈良岡浩監督のフットワーク理論を凝縮した書籍、『バドミントン フットワーク レボリューション』が全国の書店で発売中だ。基礎となる6方向のフットワークや、練習メニュー&トレーニングなどについて詳細に解説。表紙を飾る奈良岡功大選手が、すべてのメニューを実演している。約37分の映像が収録されたDVD付き。スムーズな足運びを学びたい人におすすめ。
◎A5判並製、112ページ、オールカラー。価格1,800円+税。ベースボール・マガジン社刊

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(月~金10:00~12:00/13:00~16:00〈祝祭日を除く〉)

★奈良岡功大選手への質問募集!★

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Profile

ならおか・こうだい◎2001年6月30日生まれ、青森県出身。浪岡南小-浪岡中-浪岡高。小学時代は全国小学生大会単3連覇、全国ABC大会単5連覇を達成。中学時代は全国中学校大会単3連覇という前人未踏の記録を打ち立てた。同年9月には、高校2年までが出場する全日本ジュニアで最年少V(16年・17年連覇)。高校に入学後はインターハイのシングルスで2年連続準優勝に輝き、19年3月の高校選抜では連覇と3冠を果たした。そのほかにも、全日本総合本戦出場や17年日本ランキングサーキット単3位、18年大阪国際準優勝など国内外のシニアの舞台でも活躍。18年にはユース五輪で銅メダル、世界ジュニアで銀メダルを獲得した日本のホープ。174㎝66㎏。血液型B。

 

構成/バドミントン・マガジン編集部

投稿日:2019/07/22
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