【連載④】DUORAはこうして作られた~革新ラケットの開発秘話~【最終回】シリーズ完成! そして、その先へ――

2015年9月、ヨネックス株式会社が発売した「DUORA10」。後に「7」「6」「Z-STRIKE」と続くDUORA(デュオラ)シリーズは、バドミントン界のエポックメーキングとして、語り継がれていくであろうラケットだ。

最も大きな特徴は、表裏が異なる形状であること。ラケットの表面と裏面を使い分ける発想がなかったバドミントンにおいて、フォアハンドで使う面、バックハンドで使う面を区別することを提案した。

いまや、世界のトップ選手から一般のユーザーまで、幅広い層に受け入れられている画期的なラケットDUORAシリーズ。初代「DUORA10」発売後と、続くシリーズ化への展開。そして、究極のDUORA「Z-STRIKE」とは――。

 

第1回 技術開発部の挑戦は>> こちら

第2回 マーケティングの戦略>> こちら

第3回 商品化から発売、そして“拡散”へ>> こちら

 

★世界が認めた「表裏異形状」

「究極のDUORA」として今年2月に発売された『Z-STRIKE』。フォア、バックともにシリーズ最高の攻撃性能が備わっている
「究極のDUORA」として今年2月に発売された『Z-STRIKE』

2015年9月に発売された、表裏異形状ラケット「DUORA10」。フォアハンドとバックハンドで面を使い分ける発想がなかったバドミントン界において、あまりにも斬新な発想が話題を呼んだ。発売元であるヨネックス社、グローバル戦略室・金子幸也が明かす。

「小売店さんから『すごいラケットだね!』とご期待いただいて、出荷数は驚異的なペースでした。ただ、同時に、お客様からの手応えの鈍さを感じていたのも事実です」

前回紹介した「DUORAトライキャンペーン」とともに、大きな追い風となったのは、契約選手の一人、リー・チョンウェイ(マレーシア)の活躍だ。世界に誇るトッププレーヤーが、発売直後のスーパーシリーズで3大会連続優勝。世界がDUORA10に注目した。

また、2016年リオ五輪の女子ダブルスで銀メダルを獲得した、カミラ・リターユール(デンマーク)もDUORA10の愛用者だ。

「最初は『フォアとバックを使い分けるの?』と思ったけど、使ってみたら難しくなかったわ! 私は左利きだから、常にグリーンが見えていればいいだけですからね。とくにフォアで打ったとき、以前よりもショットにパワーを感じるようになりました。使いやすくて自分に合った、とてもいいラケットだと思っています」と信頼を寄せる。

2015年10月のフランスオープンで優勝したリー・チョンウェイの手には「DUORA10」が握られていた
2015年10月のフランスオープンで優勝したリー・チョンウェイの手には「DUORA10」が握られていた

 

 

究極のDUORA誕生、そして、その先へ――

2016年3月には対象レベルを中・上級者まで広げた「DUORA7」を、同年9月には、シャフトを柔らかめにした女性向けの「DUORA6」をリリース。上級者モデルの10と合わせて「すべてのお客様を対象にできた」(金子)という状態になった。

そして、2017年2月。シリーズを完成させる「DUORA Z-STRIKE」が発売された。攻撃力に加えてコントロール性能が増し、どこからでも強いショットを打ち込める。まさに、究極のラケットだ。

ヨネックス社では、従来品との比較実験を実施(別表参照)。スマッシュスピードが速くなったという結果に加え、フォアに対するバックの速度差が小さいことが証明された。DUORA Z-STRIKEは、「スマッシュスピードが速く、バックからでも強いショットが打てる」といえるのだ。

DUORA

そのメリットを、昨年のスーパーシリーズ・ファイナルを制し、男子シングルスにおける次世代のエースと目されるビクター・アクセルセン(デンマーク)も実感している。

「いまのバドミントンは守備から攻撃への切り替えがとても早い。それに対応したラケットだと思います。フォアは打ち応えがあって力強く、バックは素早く振り抜けて鋭いショットを打てる。面が安定してコースをしっかり狙えるところも気に入っています」

トップ選手からの信頼だけではない。昨年12月から今年2月にかけて専門店と大型店から送られてきた店頭実売データについて、金子が言及する。

「2月はDUORA Z-STRIKEがトップだったのですが、それ以外の3モデルも3カ月にわたってトップ10にランクインしていました。『6』は対象が女性であるにもかかわらず、『10』については発売から1年以上たつのにもかかわらず、です。本当にありがたいですね」

さまざまなレベルで、DUORAシリーズが受け入れられ続けているのだ。

表で紹介した性能比較における実験の様子。高性能ラケットを開発するうえで、このように専門機器を用いて行なう実験も欠かせない
表で紹介した性能比較における実験の様子。高性能ラケットを開発するうえで、このように専門機器を用いて行なう実験も欠かせない

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

新潟県長岡市で開発の日々を送る、技術開発部・大谷和也は、笑顔でこう話す。

「海外のトップ選手から、町で出会うお客様まで、『このラケット、よかったよ』といっていただくと、やってよかったなと思います。そして、さらにいいものを作って提供したい、という気持ちが湧いてくるのです」

大谷の部下・大熊伸江も続けていう。

「担当したラケットは自分の子どもみたいなもので、お客様に受け入れて喜んでいただけるのは、とてもうれしい。でも、私たちはそこで満足せず、常にお客様目線で新しいことに取り組んでいくのです」

そう話す視線の先には、ヨネックス社の社訓が掲げられている。

「独創の技術と最高の製品で世界に貢献する」――。

バドミントン界を変えた表裏異形状ラケット「DUORA」。その先を見すえた心意気は、いまこの瞬間も燃え続けている。

 

<取材協力/ヨネックス株式会社 文中敬称略>

 

 

DUORA Z-STRIKEを1名にプレゼント!

本連載でも紹介したDUORA Z-STRIKE(3U5)を1名にプレゼントします(提供/ヨネックス株式会社)。希望者はパソコン、携帯電話(スマートフォン)からメールで以下の応募方法に沿ってご応募ください。

 

◆応募方法

 メール作成画面より、題名(件名)に「DUORAプレゼント」と記入。

 本文入力欄には、まず以下のDUORAクイズの回答を記入。

◇DUORAクイズ(●に当てはまる数字を回答してください)

Q1 DUORA10の開発がスタートしたのは●年(ヒント…連載第1回を参照)

Q2 DUORAのネーミング候補は約●種類(ヒント…連載第2回を参照)

Q3 DUORA10の試作品は約●種類(ヒント…連載第3回を参照)

 クイズの回答の下に、①氏名 ②住所 ③電話番号 ④年齢 ⑤職業 ⑥好きなバドミントン選手、を明記の上、bad.magazine.spirit@gmail.com にお送りください。応募はお一人様1回までとさせていただきます。締切は2017年4月19日(水)の12:00まで。正解者の中から抽選で1名に賞品をお送りします(抽選の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます)。

※ご応募いただいたお客様の個人情報は賞品の抽選、当選者への発送、確認事項の連絡以外の目的には使用いたしません。

※プレゼント応募は終了しています。ご了承ください。

投稿日:2017/04/12
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