【五輪特集】オリンピックへの挑戦! 1992年バルセロナ五輪へ

リオ五輪開会式

4年に一度行なわれるスポーツの祭典・リオデジャネイロ五輪が開幕。今回で7回目を迎えるバドミントン競技も、本日からスタートする。日本代表は9名の選手が参戦。世界ランキング1位の髙橋礼華/松友美佐紀を筆頭に、奥原希望、山口茜、早川賢一/遠藤大由らがメダル候補として悲願の「金」獲りに挑戦する。

 

バドミントン・マガジン(以下本誌)では、世界のトップクラスへと成長した日本の歴史を振り返る「日本バドミントン オリンピックへの挑戦」を連載してきた(本誌16年2月号から8月号まで)。今回はリオ五輪企画として、特別に誌面に掲載した内容を紹介する。第3回はバルセロナ五輪前の、日本の動向について振り返る。

 

日本バドミントンオリンピックへの挑戦

第3回1992年バルセロナ五輪へ

今年は4年に一度のオリンピックイヤー。急成長を遂げ、日本バドミントンはいまや複数のメダルを期待されるまでになった。それは先人たちのたゆまぬチャレンジによるものでもある。本連載では、過去のオリンピックにおける日本バドミントンの奮闘を振り返る。今回は、正式種目での実施が決定したバルセロナ五輪に向けた動きにスポットを当てる。

文/永田千恵

『ここ1〜2年のソ連(現ロシア)をはじめとする東欧圏諸国のバドミントンに対する力の入れ方は、オリンピックを抜きにして説明できるでしょうか? オリンピックへの参加をもって、バドミントンは世界的に認知されたスポーツになった、といっても過言ではないでしょう。

いままでバドミントンというスポーツが地球上に存在することすら知らなかった人々が、オリンピックを機会に、初めてバドミントンの魅力に触れるかもしれない

“1989年月号イアン・パーマーIBF会長(国際バドミントン連盟、当時)来日インタビューより”

 

ソウル五輪からさかのぼること3年の1985年。IOC国際オリンピック委員会総会において、年以降バドミントンがオリンピックの正式種目として採用されることが全会一致で決定していたことから、ソウル五輪後、バドミントン界全体の機運がバルセロナに向けて一気に高まっていった(前後の動きは表1参照)。

その一方で、世界最大のスポーツの祭典に参加するにあたり、未解決の問題が数多くあったことを、本誌では1989年6月号の『バルセロナ長期的展望に立ったしっかりした土台を〜動き出した五輪対策』と題した特集で伝えている。

『現在まで、IOCと五輪組織委員会が「エントリー総数は144人。内訳は男子シングルス人、ダブルス組、女子シングルス人、ダブルス組」で一応の合意を見ている。

参加選手の選出方法は最終決定していないが、IBFが90年か91年の実施を予定しているコンピュータ・ランキングを優先させる考えだ。さらに、5大陸への配分、1カ国の人数制限などが今後の検討課題となってくる』

ソウルが五輪前哨戦なら、バルセロナはまさに本番。失敗は許されない。IBFは、山積した問題の解決に追われていた。

 

日本でもようやく長期的強化がスタート

 

日本国内も多くの課題を抱えていた。なかでも一番の問題は、しっかりとした選手強化の体制づくりが遅れていることにあったようだ。ヨネックスオープンジャパン(YOJ)89総括座談会において、出席者からそのことがはっきり指摘されている。

『「僕らチームを預かっている者は、自分のところから日本代表を出すよう努力しているが、日本全体をレベルアップするにはどうしたらいいか、などという話し合いはまだやっていません」(銭谷欽治氏)

「この際、強化委員会そのものを〝強化〞して、諮問機関もちゃんとつくって、計画的、組織的にやらないと、オリンピックは戦えないと思います」(中山紀子さん)』(89年本誌3月号「すでに動き出した世界に遅れをとるな! 日本も一層強固な選手強化体制を」)

もちろん、日本バドミントン協会も選手強化の見直しの必要性については重々承知していた。89年6月号の特集「動き出した五輪対策長期的展望に立ったしっかりした土台を」で、協会の動きを次のように紹介している。

『協会側には「これまでナショナルメンバーに迫る実力を持っているジュニア選手については、ナショナルチームの国内合宿に参加させるのがせいぜい。しかも地方の指導者に任せきりだった」(小飼栄一専務理事)という反省がある。専務理事直属のオリンピック対策室があるにはあったが、有効な強化策を打ち出せたとは言いがたい。

今度のオリンピック対策本部の構想は機能的にジュニアからシニアへの育成、指導を結びつけようとするもので、「バルセロナ五輪、それに続く次の五輪を目指す長期計画」(小飼栄一専務理事)と位置づけられている。』

このことから、五輪対策の本格的なスタートとして、ジュニア選手の発掘、育成に力点が置かれたことがわかる。これと同時に、この年、オリンピック種目となることで、日本体育協会競技力向上委員会が認定する「オリンピック強化指定選手」にバドミントンからも選手が選出されたが、男女ともベテランたちに交じって高校生、中学生も選ばれた。次のバルセロナから、さらに先のオリンピックに向けて、長いスパンでの強化が始まったわけである。

 

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投稿日:2016/08/11
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