東京2025デフリンピックのバドミントン競技は、第6日目の21日、調布市の京王アリーナ(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で個人戦各種目の準決勝とメダルマッチが行なわれ、日本は女子ダブルスで金メダル1個、男子ダブルスで銀1個を獲得した。

多くの観客に祝福されるなか、姉妹でペアを組む矢ケ部紋可/矢ケ部真衣は金メダルを首にかけた。日本の金メダルは2005年のメルボルン大会で女子ダブルスの石井満里/吉田美香が優勝して以来の快挙だ。
終始、強気のプレーを貫いた。韓国ペアを迎えた準決勝で「自分たちのほうが強いんだ」は自分に言い聞かせたという妹・真衣は、堅守の姉と2-0のストレート勝ちで波に乗ると、決勝では中国ペアと対戦した。
第1ゲームの3-3から抜け出し、先行。その後は一度もリードを譲らずに第1ゲームをものにすると、第2ゲームも常に優勢に試合を進めた。12-6から1点差に詰め寄られるピンチもあったが、「気持ちを強く持っていたから乗り切れた」と真衣。一方、調子のいい妹を見て、姉の紋可は「いいぞ、いいぞ」と盛り立て、相乗効果でペアとしての調子を上げていった。ゲーム終盤は連係のよさと攻撃的なプレーで一気に突き放し、ストレート勝利で頂点へ駆け上がった。

3年前のデフリンピック前回大会では、新型コロナの影響で、準決勝目前に日本選手団の出場辞退が決まり4位に終わっていた二人。3年越しのやりきれなさを昇華する最高のエンディングを迎えた。

男子ダブルスは永石泰寛/森本悠生が銀メダル、沼倉昌明/太田歩が4位。永石/森本は、ファイナルゲームにもつれたタイとの準決勝は、大接戦の末、59分で制したが、決勝では、永石泰寛/森本悠生を破って勝ち上がってきたロシアペア(個人の中立選手として参加)に、ネット前で早く触られ、11―21、16―21で敗れた。
悔しさを残す結果となったが、18歳の森本は「これで次は金メダルを取りたいという気持ちが強くなりました」と明るさを交えて語り、森本とは20歳差の永石は「今回のプレーを反省して次につなげたい」と前を見ていた。

また、惜しくもメダルに届かなかった沼倉昌明/太田歩は、準決勝、3位決定戦ともファイナルゲームに持ち込む渾身のプレーを見せた。それだけに試合後には、めざしてきたメダルに届かなかった無念さとともに、やりきった表情も浮かんだ。
沼倉は「失敗を恐れずチャレンジする試合ができた」と胸を張り、今大会での引退を決めている太田は「終わってしまったんだな」と寂しさを口にしつつも「持てるすべては出し切った」と言い切った。


取材・文/鈴木快美
写真/菅原淳、バドミントン・マガジン編集部








