【パラ国際大会】初出場の河合紫乃が元実業団選手の実力を発揮し、圧巻の初優勝! 里見と梶原は3連覇、梶原は西村とのダブルスも制し2冠

11月5日から9日まで、静岡県静岡市の静岡県草薙総合運動場体育館(このはなアリーナ)で『ヒューリック・ダイハツJapan パラバドミントン国際大会2025』が開催。9日は各種目の決勝が行なわれた。

SL3(下肢障がい/障がいが重いクラス)女子シングルスでは、河合紫乃が初優勝。元実業団選手として活躍し、障がいを負ったのち、車いすフェンシングの日本代表として活動していた河合は、昨年、9年ぶりにバドミントンに復帰。昨年のこの大会は観客席で「1年後はあの舞台でプレーする」と誓い、有言実行で頂点に立った。

SL3女子シングルスで優勝した河合紫乃

決勝では、インド選手を第1ゲーム、第2ゲーム合わせて2ポイントに抑えて圧倒。目標とする3年後のロサンゼルスパラリンピックに向けて、確かな一歩を刻んだ。

「パラバドミントンをやったら、障がいを認めてしまうことになるからやりたくなかった」と、河合は障がいを負った当時を振り返る。一時はラケットをすべて捨てたのだという。「まさか、ここまで戻ってこられるとは思わなかったし、過去の私を知っている人が今の私を見たら、うれしく思ってくれると思う。これからも引き続き、ケガと付き合いながら、必ず世界の一番になりたい」と話すと、目を潤ませた。

車いすでは、WH1(障がいが重いクラス)女子シングルスで里見紗李奈が3年連続4度目の優勝。また、WH2(障がいが軽いクラス)男子シングルスの梶原大暉が3連覇を達成。日本パラバドミントン界の男女エースとしての力を見せた。

WH1-2男子ダブルス優勝の西村啓汰(右)/梶原大暉。梶原はシングルスも制し2冠

梶原は、WH1の西村啓汰とのダブルスも制し、2冠。昨年までペアを組んでいた村山浩が引退し、新たなペアとしてコンビネーションを高めている段階だが、決勝では西村のディフェンスからねばり強くラリーし、「西村さんのよさと自分のよさを掛け合わせてプレーできて、収穫が大きかった」(梶原)と、ペアとして手応えを得る内容となったようだ。

WH1女子シングルスで3年連続4度目の優勝を果たした里見紗李奈

一方、パリ・パラリンピック以降はシングルスに専念している里見は、「試合数が減り、集中できている」。パリでは連覇を果たしたが「圧倒的に勝てたわけではないから、もっと圧倒的に勝ちたいという気持ちが強くなった」と言い、「モチベーションが落ちることなく、日々練習できている」と充実した表情を見せていた。

WH1男子シングルスでは、大学4年生の江口翔一朗が国際大会2戦目にして決勝に進出した。江口は小学生からジュニア選手としてプレーし、大学では法政大バドミントン部に所属。大学1年冬に事故で障がいを負ったものの、競技への熱は失わなかった。パラバドミントンの競技歴は3年とまだ浅いが、もともとのパワフルなプレーは健在。「チェアワークがあるのが難しく、ねらうところが狭いので配球も大事になってくる」とそれまでプレーしてきたバドミントンとの違いを話した江口。決勝では相手より先にミスが出てしまった。「トップ選手との差を感じた」と振り返ったが、「今大会はメダルを目標にしていたので、目標以上のプレーができて、すごくうれしいです」と充実感も。「まだ若いので、ロサンゼルスの先も、何度もパラリンピックに出たい」と今後の意気込みを語った。

連覇をねらったSL3男子シングルスの藤原大輔は、第1ゲームを先取し、第2ゲームも19-16と勝利まであと2点としたところから逆転負け。悔しい敗戦となったが、「厳しい予選グループから上がって、今年の大会の中ではいいパフォーマンスができた。自分はラリータイプですが、アタックするスタイルに挑戦している。今日も先に攻めることは意識してできた」と一定の手応えを得ていた。

取材・文&写真/バドミントン・マガジン編集部

投稿日:2025/11/11

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