5月24日に開催された2025年日本ランキングサーキット（埼玉県・サイデン化学アリーナさいたま）最終日は、各種目決勝が行なわれた。ここでは、ダブルス3種目の熱戦をレポートする。
【混合ダブルス】
朝一番の混合ダブルス決勝は、日本代表ペアの西大輝（上写真・後ろ）／佐藤灯（BIPROGY／ACT SAIKYO）が、渡辺勇大／松友美佐紀（J-POWER／東京都協会）に２−０で勝利した。
序盤、勢いよく打ち込む西のスマッシュを、松友が返しきれず。渡辺のスマッシュがネットにかかるなど、五輪メダリスト二人のペアは流れをつかめない。対する西／佐藤は、佐藤のネットプレーの精度が高く、西のフェイントカットも決まり、21-16で第1ゲームを奪った。
第2ゲームも西／佐藤の勢いは止まらない。渡辺（上写真・右）／松友に攻撃の形をつくらせず、14-6と大差をつけて中盤へ。しかし、さすがは世界の頂を知るメダリストたち。苦しみながらもラリーをつくり、西／佐藤にミスが出始めるのを見逃さず、じわじわと点差を詰めていく。松友のねらいすましたストレートプッシュが決まり、ついに17オールの同点。1点を取り合う展開は22-22まで続いたが、渡辺／松友にネットミスが出て、23-22で西／佐藤がマッチポイント。最後はサービスリターンからのやりとりで、渡辺が出したハーフショットがサイドアウトとなってゲームオーバー。日本代表ペアの西／佐藤が、全国大会初タイトルを獲得した。
▼決勝（5月24日）
西大輝／佐藤灯（BIPROGY／ACT SAIKYO）②〔21−16、24−22〕０●渡辺勇大／松友美佐紀（J-POWER／東京都協会）
優勝：西大輝（左）＆佐藤灯
準優勝：渡辺勇大（左）＆松友美佐紀
【男子ダブルス】
男子ダブルス決勝は、小川航汰（上写真・後ろ）／永渕雄大（ジェイテクト）が、日本代表経験のある二人が組む松居圭一郎／玉手勝輝（日立情報通信エンジニアリング）に、ストレート勝利を収めた。序盤から激しい打ち合い、前の取り合いが続く展開。目まぐるしいローテーションで攻め続ける小川／永渕と、積極的に前を取って的確なコースを攻める松居／玉手は、互いに譲らない。終盤に松居／玉手にミスが重なり、ネット勝負で点を奪った小川／永渕が、第1ゲームを先取した。
第2ゲームも点の取り合い。ネットをかすめて入ってきたシャトルもしっかり返す小川／永渕に対し、レシーブで下がり気味になった松居（上写真・右）／玉手が後手を踏むが、大きく離されずについていく。勝敗を分けたのはわずかな差。「予測しっかり！」というベンチの指示どおり、リターンを読んで素早く動き出す小川／永渕。ラリー中に力みがちな場面では、「ゆっくり！」と声をかけ合う姿も印象的だった。最後はサービスまわりから浅く返ってきたところを、確実に決めてゲームオーバー。社会人2年目と1年目の若武者が、全国大会初優勝を勝ち取った。
▼決勝（5月24日）
小川航汰／永渕雄大（ジェイテクト）②〔21−17、21−19〕０●松居圭一郎／玉手勝輝（日立情報通信エンジニアリング）
優勝：小川航汰（左）＆永渕雄大
準優勝：松居圭一郎（左）＆玉手勝輝
【女子ダブルス】
準々決勝、準決勝と日本代表を擁するペアを撃破してきた鈴木陽向（上写真・右）／山北奈緖（NTT東日本）が、日本代表二人が組む中西貴映／五十嵐有紗（BIPROGY）に勝利。23歳と19歳のペアが、社会人初タイトルをつかんだ。
挑戦者の立場を明言してきた鈴木／山北は、序盤からスピード全開で攻めていく。守りの場面では、世界トップレベルでプレーする中西／五十嵐のスマッシュを力強く跳ね返し、時には体をうまく入れてしのぎ、長いラリーの中で攻撃へと転じていく。鈴木／山北は集中を切らさず、21-19で第1ゲームを先取した。
第2ゲームに入ると、さらにラリーの中で工夫が見られるように。後衛の中西（上写真・左）を走らせて崩し、あいたスペースに素早くシャトルを落とす。前衛を得意とする五十嵐が前に出ようとしたところをドライブで抜く。苦しい場面では「頑張れ！」「前！」と声をかけ合い、チャンスがくるまで耐える。ロングレシーブとドライブレシーブの使い分けも見事で、中西／五十嵐を追い詰めていった。20-12と大差で迎えたマッチポイントもローテーションしながら攻め続け、最後は相手のレシーブがサイドアウト。飛び上がる力も絶叫する力も残っていなかったのか、無言でコートに倒れ込んだ若き勝者に、大きな拍手が送られた。
▼決勝（5月24日）
鈴木陽向／山北奈緖（NTT東日本）②〔21−19、21−12〕０●中西貴映／五十嵐有紗（BIPROGY）
優勝：鈴木陽向（右）＆山北奈緖
準優勝：中西貴映（左）＆五十嵐有紗
取材・文／平田美穂
写真／菅原淳
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