日本の頂点をかけて争われる第79回全日本総合バドミントン選手権(東京都調布市・京王アリーナTOKYO)。大会4日目は各種目準々決勝が行なわれた。男子ダブルスのダイジェストを紹介する。
【男子ダブルス】
昨年優勝の山下恭平(上写真・右)/緑川大輝(NTT東日本)が、武井優太/遠藤彩斗(NTT東日本)との同チーム対決を制した。緑川、武井、遠藤の3人は、埼玉栄中・高の同級生。しかし、代表入りしているのは緑川のみ。武井/遠藤は「挑戦する気持ち」と臨んでいた。第1ゲーム序盤から、目まぐるしくローテーションしながら打ちまくる武井/遠藤。後ろから打っても、レシーブが堅い山下/緑川には決まらない。ラリーの中でチャンスをつくり、ネット前で仕留めるしかないと果敢に決めにいく。互いに手の内を知る同士、長い長いラリーが続く中、山下/緑川が第1ゲームを22-20で先取した。
第1ゲームを奪われた武井/遠藤が、気落ちすることはなかった。第2ゲームに入ってもスピードを落とすことなく、前へ前へと詰めていく。11-7とリードして折り返すと、連続得点で一気にリード。やや引き気味になった山下/緑川を攻めたて、21-13で第2ゲームを奪い返した。ファイナルゲームも試合序盤から変わることなく、武井/遠藤は攻め続けた。折り返しは11-6で武井/遠藤がリード。しかし、鉄壁のレシーブに加えて攻撃力もある山下/緑川。山下がスマッシュ、緑川が決める形も出て、終盤まで点の取り合いが続いた。武井/遠藤のロブがアウトとなり、20-18で山下/緑川がマッチポイント。最後は武井/遠藤のネットミスで、山下/緑川が勝利。武井/遠藤のミス2本でゲームオーバーとなったが、それぞれの持ち味を存分に発揮した66分間だった。
山下/緑川の準決勝の相手は、昨年と同じ熊谷翔(上写真・右)/西大輝(BIPROGY)。昨年と同じく、柴田一樹/山田尚輝(NTT東日本)を倒して勝ち上がった若手ペアだ。第1ゲームはリベンジに燃える柴田/山田が、序盤からスピード感あふれるプレーを披露。柴田=後ろ、山田=前という得意の形にこだわらず、山田が後ろで打ち続け、柴田が打ち込みながら前に出て仕留める姿も見られた。守る場面では、大きく振るロングレシーブと、勝負にいくドライブレシーブを使い分けて攻撃へ。攻守に成長の跡を見せた柴田/山田が、21-13で第1ゲームを先取した。
第2ゲームに入っても、後衛を得意とする柴田が前で勝負するなど、流れは柴田/山田にあった。しかし、熊谷/西の角度あるショットが決まりはじめる。柴田/山田に下から取らせれば、スピードと角度のある連続攻撃を武器とする熊谷/西が勢いを増す。前に出ようとする柴田/山田に対してロブを放つなど、相手のよさを封じ込めた熊谷/西が、21-11で第2ゲームを奪い返した。
ファイナルゲームも熊谷/西が主導権を渡さず。角度あるショットからの連続攻撃が次々と決まる。柴田/山田はネット前で当てたり落としたりはするものの、ラケットを振ってたたき込めないのが痛かった。最後は西のヘアピンがネット前にスッと落ちてゲームオーバー。緩急をつけた見事なショットで、準決勝進出を決めた。
この日の最終試合を制したのは、霜上雄一(上写真・左)/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)。相澤桃李/佐野大輔(ジェイテクトStingers)との対決が始まったのは19時15分。どちらも男子ダブルスらしい攻撃主体のペアで、激しい打ち合いがくり広げられた。第1ゲームは21-19で相澤/佐野、第2ゲームは21-19で霜上/野村。まったく互角のスコアで突入したファイナルゲームは、第2ゲームを奪った勢いで霜上/野村がリードする展開。序盤と中盤に連続得点を重ね、17-11と6点差をつけた。
しかし、あきらめない相澤/佐野が5連続得点で差を詰め、ついに18-18で追いつく。そこで霜上/野村はリードを許さず、19-18の場面ではドライブ合戦から相手のミスを誘って20-18。最後はロングサービスから打ち込まれた相手のストレートスマッシュを、クロスにロングレシーブ。前に出ようとした相澤/佐野の逆を突く技ありのショットで、83分の激闘を終わらせた。霜上は混合ダブルスと2種目でベスト4。激闘を経ての体のケアが、勝負を分けるカギとなりそうだ。
霜上/野村と準決勝で対戦するのは、昨年と同じ三橋健也/岡村洋輝(BIPROGY)。売り出し中の若手、川邊悠陽/松川健大(日立情報通信エンジニアリング)の挑戦を、21-16、21-15で退けた。男子ダブルスのベスト4は昨年と同じ顔ぶれ。さらに、対戦カードも同じとなった。昨年、決勝に進んだのは、山下/緑川と霜上/野村。今年はどんな結果になるだろうか。
▼準々決勝(12月28日)
山下恭平/緑川大輝(NTT東日本)②〔22-20、13-21、21-18〕1●武井優太/遠藤彩斗(NTT東日本)
熊谷翔/西大輝(BIPROGY)②〔13-21、21-11、21-12〕1●柴田一樹/山田尚輝(NTT東日本)
三橋健也/岡村洋輝(BIPROGY)②〔21-16、21-15〕0●川邊悠陽/松川健大(日立情報通信エンジニアリング)
霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)②〔19-21、21-19、21-18〕1●相澤桃李/佐野大輔(ジェイテクトStingers)
▼準決勝(12月29日)
山下恭平/緑川大輝(NTT東日本) — 熊谷翔/西大輝(BIPROGY)
三橋健也/岡村洋輝(BIPROGY) — 霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)
取材・文/バドミントン・マガジン編集部
写真/井出秀人
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