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【選手情報】「世界トップ選手との対戦を楽しみたい」 桃田賢斗が林丹の誘いに応え『King Cup』に出場!

桃田賢斗が、2024年の日本代表引退以降初めて国際大会に出場する。桃田は世界選手権2連覇、世界ランキング1位など男子シングルスで圧倒的な力を誇り、2019年には男子シングルス年間最多勝利数となる国際大会11勝を記録。しかし、2020年にマレーシアで巻き込まれた事故でケガを負う不運もあり、2024年トマス杯を最後に日本代表を退いている。

桃田が出場するのは、中国・深圳(シンセン)で開催される『King Cup(キング・カップ)』。オリンピックを2度制した中国のレジェンド、林丹(リン・ダン)氏が、自身の出身地である深圳の行政とともに創設した男子シングルスの大会で、今年で2回目の開催。BWFワールドツアーとは一線を画す非公式戦の招待大会ながら、男子シングルス世界ランキング1位の石宇奇(シー・ユーチー)をはじめ、トップ選手が出場を予定している。賞金総額は300万中国元(42万4240USドル/日本円で約6700万円)。優勝者は約2700万円の賞金を獲得するという規模の大きな大会だ。

大会は12月26日から28日までの3日間、深圳のシンセン・ベイ・スポーツセンター(Shenzhen Bay Sports Center)で開催。25日の出発を前に、桃田が大会参加への経緯や意気込みなどを語ってくれた。

――キング・カップへの出場の経緯を教えてください。

桃田 今は国内のいろいろな地域に行って、子どもたちとコートに中に入ってバドミントンを教えていますが、まず自分の中で、自分が動けないと、教える側になっても説得力がないと思っていて、コートの中でしっかり動けるように毎日練習しています。その中で、大会に出てみたいという気持ちも出てきたところに、林丹から「試合に出てみないか」というお話をいただきました。夏に開催された林丹カップへのお誘いをいただいたときは、腰の手術直後で出場できなかったのですが、今度は年末のキング・カップに誘っていただいて。久しぶりに世界のトップ選手と対戦してみたいと、今回、出場することを決めました。

――7月に腰を手術。「まだプレーをしたいし、出たい大会もある」ということでしたが、キング・カップも出たい大会の一つでしたか。

桃田 そうですね。出られたらいいなとは思っていましたが、そのときはそこまで具体的には…。あとは、S/Jリーグなどチームの試合に出たいという思いもありました。会社やチームにはとてもお世話になっていますし、チーム戦はやはりすごく好きなので。

――11月のS/Jリーグ一宮大会では、今季初戦の勝利に貢献しました。

桃田 「行け」と言われたら、いつでも試合ができるように、準備をしています。

――現在のコンディションは。

桃田 腰の手術をしてからは痛みもありません。調子はいいと思います。

――大会に向けては、どのように準備していますか。

桃田 チームのメンバーは全日本総合があるので、そこに向けて練習しています。その中で、(田中)湧士や(武井)凜生とゲーム練習でバチバチにやっています。

――林丹さんからは、どのように声をかけてもらったのでしょうか。

桃田 自分自身はもう国際大会に出ていないので、世界ランキングもないのですが、「それは関係ない。出られるなら出てほしい」と。彼からのリスペクトをすごく感じましたし、僕自身がすごく憧れていた選手からそう言っていただけるのは、すごくうれしいことでした。

――大会には世界ランキング1位の石宇奇(中国)をはじめ、アンダース・アントンセン(デンマーク)、ジョナタン・クリスティー(インドネシア)と世界ランク上位選手が出場。かつてライバルとして対戦してきた選手と、久しぶりに対戦するのはどんな気持ちですか。

桃田 どうなんだろうな。やっぱり強いと思いますし、簡単じゃないと思うのですが、勝ちにいくというよりは、どんな感じになるんだろうなという楽しみの方が強いです。また、大会に出ることが決まって、大会に向けて準備するというのは、モチベーションも上がりますよね。

――コートの外からかつてのライバルたちを見る時間もあったわけですが、戦術面などで試してみたいことなどは?

桃田 今はチームの中で選手兼コーチというような立場でやらせてもらっていて、トップ選手がどんなテンポでプレーして、どんな感じにシャトルが来るのかというのを体感するのは、すごく自分にとっていい経験になると思いますし、それによって練習の中での意識も変わってくるのかなと。まずは、戦術というよりも、自分のパフォーマンスを出し切りたい。それが、どれくらい通用するのかというのは気になります。

――今大会には、アレックス・ラニエ(フランス)やビクター・ライ(カナダ)といった、桃田選手が代表引退後に台頭した若手選手も出場を予定していますね。

桃田 時代によってバドミントンのプレースタイルもすごく変わってくる。今はいろいろな媒体で試合を見ることができるので、そうしたプレースタイルの変化を敏感に感じますね。見ていて「こうやった方がいいのかな」と参考にする部分もあるし、「こういう流れだから逆にこうした方がいいんじゃないかな」など、いろいろと感じることが多いです。

――ワールドツアーの試合を見ることも多いとのことですが、最近の傾向として感じることは?

桃田 試合展開が速いですね。15点制の採用なども話題になっていて、試合時間を短縮しようという流れとも関係していると思うのですが、全体的にシャトルの飛びも速くなっているのかなと。ラケットの性能も向上していますし、やはりスピーディーな展開になりやすいのかなというのは感じますね。

――大会の組み合わせ抽選は大会前日とのことですが、誰と対戦したいというのはありますか。

桃田 今回エントリーしている選手では、やはり石宇奇選手。今年あれだけの成績を残していたので、やっぱり対戦してみたいですね。ワールドツアーファイナルズの決勝で、足を痛そうにしていたので心配ですが。

――桃田選手が手応えのあるプレーを見せてくれると、日本のファン、世界のファンもまた次の期待をしてしまいそうですね。

桃田 日本代表に戻るつもりはないですが、見てくれた方が「コイツ、まだまだできるじゃん」と思ってくれたり、海外のオープン大会に声をかけてもらえるような試合ができたらいいのかなと思います。

――日本代表を引退しても、現役にこだわる理由についてあらためて聞かせてください。

桃田 毎日練習するということが、僕はすごく大事だと思っていて。教える立場になっても、言葉というよりは、実技で教えたい。そのためにも技術面もそうですが、動ける体もしっかりつくっていきたいなという気持ちを常にもっています。一球一球の大切さというのは自分が感じてやっていないと、相手にも伝わりづらいですから。プレーするのも、教えるのも、自分の質を高めることがすごく大事なんじゃないかと思っています。その意味では、きっと動けなくなるまで、大きなケガをしない限りはずっと続けるんじゃないかなと思います。

――では、最後に大会に向けた意気込みをお聞かせください。どんなプレーを見せたいですか。

桃田 当然年齢を重ねてフィジカルが落ちている部分はあると思いますが、フレッシュに動き回りたいですね。実は、自分の中でスピードは以前よりも上がっているんじゃないかなと思っているんです。ムダな雑念がなくなって、気持ちも身体も軽くなっているんじゃないかと。今はランキングももっていないし、失うものは何もない。こっちは向かっていくだけです。

【試合は以下で配信の予定】

■YouTube

https://www.youtube.com/@kingcupopen_official

■インスタグラム

@kingcupopen_official_

取材・構成/バドミントン・マガジン編集部

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