バドミントン国内最高峰の団体戦S/Jリーグ2025が、11月1日に東京都・大田区体育館で開幕した。東京大会では女子の全12チームが参加し、2日にわたって試合が行なわれる。ここでは、東京大会初日の女子Sブロックの模様をダイジェストでお伝えする。
【ダイジェスト】
女子Sブロックでは、連覇をねらう再春館製薬所、2大会連続のTOP4進出をねらう岐阜Bluvicが、ともに白星スタート。上位候補の一角であるACT SAIKYOは、NTT東日本に敗れて黒星スタートとなった。
再春館製薬所は、広島ガスに2−1で勝利。6月の全日本実業団を制した際に実現した山口茜(上写真・左)/志田千陽のドリームペアを第1ダブルスに起用。山口は、シングルスが主戦場だが、スペースへ的確な配球を見せ、相手の反応が遅れる様を見た観客が何度も感嘆の声を挙げた。21-14で取った第1ゲームの終盤には、ストリングスが切れてしまった志田が、ラリー中にラケット交換をするタイミングを迷ったが、山口が「シングルできるよ」と声をかけ、コート1面を一人でカバーしてしまう場面もあった。
第2ゲームは、広島ガスの若手ペアである新見桃芭/相磯美心が、山口に球を集めることで、ダブルスを得意とする志田の前衛プレーを極力抑えて健闘。19-20まで追い上げるなどねばりを見せたが、山口/志田が押し切った。志田は「第2ゲームは、相手が思い切ってラケットを振り始めて、自分が前に立った時にねらいと逆に球が来て、山口を走らせてしまった。でも、今日のパートナーは、シングルスができて、すごい(広範囲をカバーできる)足があるので、そこに頼りながらという形にはなった」と山口の高い対応力に感謝した。シングルスは明地陽菜が2-0で永田萌恵に圧勝。第2ダブルスは、広島ガスの小田菜摘/志波寿奈が加藤佑奈/金廣美希を12本、19本で破り、一矢報いた。
岐阜Bluvicは、北都銀行に3-0。福島由紀(上写真・右)を第1ダブルス、廣田彩花を第2ダブルスに配して要所を押さえるオーダーで、ベテランが期待に応えた。福島は、川添麻依子(上写真・左)とのペアで曽根夏姫/小松ゆいに2-0。廣田は、社会人1年目の平本梨々菜との初めてのペアで永渕妃香/杉山凛(内定選手:明治大)に2-0と完勝。シングルスでも小西春七が2-0で舛木さくらを破り、盤石のスタートを切った。福島は「開幕戦は大事。自分や廣田は団体戦に慣れている。大事な場面で一つポイントを取るポジション」と役割を自覚していた。
ACT SAIKYOは、1-2でNTT東日本に敗れた。第1ダブルスは、大澤陽奈/倉島美咲が日本代表の鈴木陽向/山北奈緒に挑んだが、0-2で敗戦。シングルスで水津愛美(上写真)が栗原琉夏を2ゲームとも15本で制してポイントを取り返したが、第2ダブルスで青木もえ/田口真彩が、上杉杏/山北眞緒に0-2で敗れ、厳しい黒星スタート。新加入で注目された韓国代表の李紹希(イ・ソヒ)は、10月のフランスオープン(Super750)で負傷。渡辺勇大との混合ダブルスで国際大会に出場していた田口も左ヒザを痛めており、本調子には程遠かった。田口は「自分が(負傷の影響で)できないことが多く、不安になり、思うようなプレーができなかった」と悔しがった。少人数の中で状態の上がっていない選手が多く、翌日開催の第2日にも不安が残る戦いとなった。
一方、昨季ブロック最下位と苦しんだNTT東日本は、初戦で大きな勝利を挙げた。古根川美桜は9月の全日本社会人選手権で左ヒザを痛めて長期離脱中。パートナーの上杉(上写真・右)は「この2人で組む時は(小柄な)眞緒(上写真・左)がどんどん前に切り込んで、自分が後ろからチャンスをつくる形。相手が眞緒を後ろに持ってきて苦しい展開が続いたけど、逆にできた時にしっかり決めきることができてよかった」と、古根川の負傷離脱から練習をしてきたペアとしての形を出せた手応えを示した。
11月2日に同会場で実施する第2日では、再春館製薬所がNTT東日本と、ACT SAIKYOが北都銀行と、岐阜Bluvicが広島ガスとそれぞれ対戦する。
▼Sブロック(11月1日)
岐阜Bluvic(1勝)3−0 北都銀行(1敗)
福島由紀/川添麻依子②〔21−12、21−17〕0●曽根夏姫/小松ゆい
小西春七②〔21−16、21−17〕0●舛木さくら
廣田彩花/平本梨々菜②〔21−12、21−10〕0●永渕妃香/杉山凜
再春館製薬所(1勝)2−1 広島ガス(1敗)
志田千陽/山口茜②〔21−14、21−19〕0●新見桃芭/相磯美心
明地陽菜②〔21−8、21−12〕0●永田萌恵
金廣美希/加藤佑奈●0〔12−21、19−21〕②小田菜摘/志波寿奈
NTT東日本(1勝)2−1 ACT SAIKYO(1敗)
鈴木陽向/山北奈緖②〔21−11、21−18〕0●大澤陽奈/倉島美咲
栗原琉夏●0〔15−21、15−21〕②水津愛美
上杉杏/山北眞緒②〔21−9、21−19〕0●青木もえ/田口真彩
取材・文/平野貴也
写真/井出秀人
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