松友は「(中学生が質問など)積極的に話しかけて来てくれた。今は、情報が簡単に手に入る時代だけど、直接、何かを感じるのは全然違うこと。とても積極的、前向きに来てくれてうれしかった」と笑顔を見せ、桃田も「僕は、中学から福島県に行って、バドミントン観がすごく変わった。何か変化、気付きを与えられたらうれしいし、バドミントン界が盛り上がるには、こういう活動をどんどんやっていきたい」と充実感をのぞかせた。
クリニックは「スマッシュ」、「フォアハンドロブ&バックハンドレシーブ」、「フットワーク&ヘアピン」、「半面シングルス」の4つのエリアを設け、横浜市内の約100名の中学生選手を対象に指導。スマッシュを担当した桃田は、質問に来た子どもたちに、腕の位置や使い方など、手を取って丁寧にアドバイス。その姿を見て、また別の子も質問に来るなど、子どもたちの熱意が高まっていく様子も見られた。「ロブ&レシーブ」を担当した松友は、子どもたちのプレーを見て、気付いた点をすぐに伝える姿が印象的だった。子どもたちが手投げノックでレシーブする際、ラケットを引いて差し込まれる場面が多いことに気付くと「(身体の)前で捉えて、ラケットを押し出すように」と助言。改善が見られると、笑顔で声をかけていた。
エキシビションでは、講師陣と中学生が対戦したほか、木田悠斗/岩野滉也と松居圭一郎/玉手勝輝が対戦し、迫力あるプレーを披露。質問コーナーでは、桃田と松友が回答。桃田は、過去最強の相手に五輪2大会優勝の林丹(中国)を挙げたり、試合前の食事に「香川県出身なので、うどんを食べることが多い。コシが強いので、腰の入ったいいショットが打てるのではないかと思って」と回答したり、時にユーモアを交えて回答。松友は、バドミントンが一番楽しい瞬間を問われ「今まで打てなかったショットが打てたり、まったくかなわなかった選手とちょっとでもいい試合ができたり。自分ができなかったことができるようになったときは、今でも一番うれしい」と話し、子どもたちの共感を得ていた。
桃田は世界選手権2連覇、松友は五輪金メダルと世界を制した選手だが、今もコートに立ち続けている。松友は「熊本マスターズジャパンは、まだ出られるか分からないけど、国内での試合だし、世界のトップでどこまでできるか楽しみながら臨みたい」と抱負。桃田は「出たいと思う大会がいくつかある。腰の手術も終わって順調に回復している。S/Jリーグも出るかもしれない。僕のバドミントンに対する探究心は終わらない。もっとうまく、強くなれるように頑張りたい」と今後に向けた意気込みを語った。
明治安田は、昨年度から日本バドミントン協会の未来世代応援パートナーを務めており、各地でバドミントン教室を展開している。昨年は、S/Jリーグ選手が地域の部活動チームを訪問する形で10回の教室を開催。今年は、20回を予定している。また、9月28日には、大阪のヨドコウ桜スタジアム南練習室で、今回と同様の大規模イベントを開催予定。桃田と、女子ダブルスの元世界王者である永原和可那がゲスト講師を務め、京都に活動拠点を置く、S/JリーグIIのPLENTY GLOBAL LINXの選手も講師として参加する。
取材・文&写真/平野貴也