リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得し、現在も日本代表として活躍する奥原希望が、9月13日、株式会社ロッテが子ども向けに行なっているイベント『ロッテ×LOCOK“嚙む力をスポーツの力に”』に登場し、小学生を対象としたバドミントン教室やトークショーを行なった。

株式会社ロッテは、教育を通して社会の持続的な発展をめざす株式会社LOCOKと共同で、2024年から同イベントを開催。これまで野球、バレーボール、卓球の教室を開催し、第4弾としてバドミントン教室を行なった。
ゲスト講師として参加した奥原は、品川区御殿山小学校の1年生から4年生の子どもたちと直接シャトルを打ち合いながら、バドミントンの楽しさを伝えた。今回、噛む力を実感してほしいということから、子どもたちには事前にガムが配られ、ガムを噛みながらバドミントンをプレーするという実験的なスタイルに。参加した子どもたちはほとんどが「バドミントンをするのは初めて」というビギナーだったが、シャトルキャッチや手投げノックなど、奥原がメニューを提案しながら段階的に教えていくと、子どもたちはぐんぐん上達。50分のバドミントン教室の最後には、奥原と全員でラリーを何球も続けられるまでになった。



イベント後半のトークセッションでは、スポーツ歯学の専門家で、オリンピックでアスリートの歯科指導を務めた経験もある、東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室客員教授の武田友孝氏を交えて、スポーツや日常生活における噛むことの重要性を語り合った。今回のバドミントン教室での子どもたちの上達ぶりには、武田氏も驚き、「噛むことによって脳に刺激がいって、力が出る。それによってすぐにうまくなるということはないかもしれないけれど、集中力がアップしたり、うまく力が出たり、運動能力に影響するので、今日もそうした効果はあったかもしれない」と話した。トークセッションの中では、「食事では噛み応えのあるもので、噛む力を養った方がいい」という武田氏のアドバイスに、奥原は「私は普段から噛み応えのある硬いフルーツが好きで、柿などを皮ごと食べています」と明かしていた。

トークショーの最後には、武田氏と奥原が子どもたちからの質問に答える時間も。バドミントン教室をサポートした日野学園中学バドミントン部の生徒から、「ラウンド側にすぐに入るコツは?」と聞かれると、「アゴが上がってしまうと身体が伸びきってしまう。重心を低くして、先にシャトルの下に入ることが大事」と奥原が回答。その奥原の回答に、武田氏が「噛むことで、アゴを引いて腹筋が使える。普段から軽く噛む習慣をつけるといい」と付け加えるなど、まさにスポーツと噛むことの密接な関係がうかがえる充実の質疑応答となった。
奥原希望 イベント後のコメント
子どもたちが上達していく姿を見て、すごくうれしかったです。子どもたちの目がキラキラしていて、短い時間でしたがバドミントンを楽しんでくれたというのが私にとって本当に楽しい時間でした。
競技中にガムを噛むのは難しいですが、噛むことによってリラックス効果があるということを武田先生にうかがったので、試合前後に取り入れてみたいなと思いました。特に私は、試合が終わるのが深夜遅い時間になったときに、寝つきが悪くなったりすることがあります。試合後にガムを噛むことでリラックスできるのであれば、その後の睡眠の質もよくなるのかなと思いました。
私自身のコンディションは少しずつよくなっていて、以前自分がいたところまで戻れるなと明確な手応えがあり、そのプランもできています。焦らずに一つずつ進んでいって、またトッププレーヤーに挑戦できるところに戻れたらなと思います。今は世界ランキングにつながるポイントを獲得して、年内は熊本マスターズに出場したいなと思っています。
取材・文/バドミントン・マガジン編集部