国内のトップ選手が集う2023日本ランキングサーキット（埼玉・サイデン化学アリーナ）が、5月27日に開幕。勢いある若手が多くエントリーし、日本バドミントン界の将来を占う戦いがくり広げられている。大会4日目の30日は各種目準決勝が行われ、決勝進出者及びペアが決まった。ここでは女子シングルスのダイジェストを紹介する。

【女子シングルス】

驚異の高校2年生、宮崎友花（柳井商工高／上写真）が、仁平菜月（ヨネックス）にストレート勝利。日本B代表対決を制して決勝進出を決めた。

第1ゲーム序盤から、宮崎のラウンドからのクロスカットが冴え渡る。出どころが見づらいのか、社会人選手からもノータッチエースを奪ってきた必殺ショットだ。クロスと思うとストレートもあり、さらには、スマッシュもクロスとストレートに打ち込んでくる。流れるようなフットワークと、長い手足を生かしてシャトルを拾い、チャンスと見るや強気に攻める。ラリーを支配する能力は、とても16歳とは思えない。

長い長いラリーが続く中、先に我慢できなくなったのは仁平のほうだ。第1ゲームは21-13で宮崎が先取。第2ゲームは、ラウンドではなくフォア奥を中心に揺さぶった仁平がペースをつかみかけたが、点差をつけるには至らず。ネットミスやバックアウト、追い込んでの決め球をミスするなど、自分から点を与えてしまう。気づいてみれば、18-10と大差で終盤。最後も長いラリーで相手を崩した宮崎が、ネット前への逃げ球をプッシュ。決勝進出を決めても大声をあげることなく、飛び上がるでもなく、コートに一礼。見守っていた重信萌夏コーチと軽くグータッチして、静かにコートを去った。全中優勝の翌年に世界ジュニア優勝。今年3月の高校選抜でも優勝したヒロインが、高校生では2014年の大堀彩（富岡高／現・トナミ運輸）以来となる優勝に挑む。

もう一つのB代表対決は、栗原あかり（筑波大／上写真）が、髙橋明日香（ヨネックス）に2-0で勝利した。第1ゲーム序盤から、得意のクロスショットで髙橋を翻弄する栗原。髙橋は、恵まれた体格を生かした大きな展開で応戦する。しかし、相手を冷静に見てシャトルをさばく栗原のショットに対応できず、コートに座り込む場面も。チャンスではスマッシュで点を奪った栗原が、21-17で第1ゲームを先取した。

第2ゲームも互いの持ち味を発揮して譲らず、競り合ったまま終盤へ。髙橋ややリードで進むが、19-19で栗原が追いつく。髙橋のヘアピンがアウトになって、栗原が20-19でマッチポイント。髙橋が相手を大きく振り回して20オールに。この状況でクロスネットを切って、再びマッチポイントを迎えた栗原。高橋のスマッシュがサイドアウトになってゲームオーバーとなると、絶叫して手を握りしめた。決勝戦は、大学4年生の栗原と高校2年生の宮崎の対決。次代のA代表候補が、初優勝をかけて戦う。

▼準決勝（5月30日）

栗原あかり（筑波大）②〔21-17、22-20〕０●髙橋明日香（ヨネックス）

宮崎友花（柳井商工高）②〔21-13、21-14〕０●仁平菜月（ヨネックス）

▼決勝（5月31日）

栗原あかり（筑波大）　−　宮崎友花（柳井商工高）

取材・文／平田美穂

写真／菅原淳