【S/Jリーグ2022】連覇に挑むBIPROGYと雪辱に燃えるヨネックスが準決勝で再戦!<TOP4女子/準決勝プレビュー4>

栄冠に輝くのは、世界女王の山口茜を擁する再春館製薬所か、初優勝をねらう北都銀行か、それとも新社名でリーグ連覇に臨むBIPROGY(旧:日本ユニシス)か、21年ぶりの戴冠めざすヨネックスか。バドミントンの国内最高峰のリーグ戦S/Jリーグ2022は、2月11、12日に埼玉県さいたま市のサイデン化学アリーナで、トーナメント形式の順位決定戦を行なう。最注目は、SブロックとJブロックの各上位2チームによる「TOP4トーナメント」と呼ばれる優勝決定戦だ。

211日に行なわれるTOP4準決勝に向け、各チームの監督にブロックリーグの戦いを振り返ってもらい、今リーグの目標や準決勝のポイントについて語ってもらった。ここでは、S/Jリーグ女王・BIPROGYと、ブロックリーグ敗戦の雪辱に燃えるヨネックスのカードを紹介する。

取材・文/平野貴也

S/Jリーグ 2022
TOP4トーナメント

2/11(土)準決勝~12(日)決勝/3位決定戦
J SPORTSオンデマンドLIVE配信!

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【女子】
BIPROGY
(Sブロック1位)
VS
ヨネックス
(Sブロック2位)

エース髙橋沙也加が引退へ
世代交代のBIPROGY

BIPROGYは、Sブロックで5戦全勝だったが、最終戦以外はすべて2-1で綱渡りの勝利だった。坂本修一総監督は「いつ負けてもおかしくない状況を、みんなでカバーし合って勝利につながった」と振り返る。なかでも、TOP4準決勝で再戦するヨネックス戦は、坂本総監督が「第1ダブルスを取られて、半分以上負けを覚悟した」という状況からの逆転勝利だった。

この試合を含めて、ブロックリーグで急成長を見せているのが、シングルスで起用され続けた杉山薫(上写真)。高校卒1年目で若い新人選手ながら、S/Jリーグデビュー戦となった第1戦(七十七銀行)で負ければ後がないプレッシャーの中で勝利。ヨネックス戦では、日本代表の髙橋明日香を破る働きを見せ、存在感を示した。シングルスには大学時代にインカレ単優勝の経験がある香山未帆もいるが、若手の台頭を期待して経験を積ませた格好だ。

これまでは、日本代表でも好成績を残した髙橋沙也加が長らくエースとして活躍してきたが、昨年9月に代表を引退。このS/Jリーグを最後に、現役を引退する。髙橋沙は「トップ4に向けて、チーム全員で準備しています。私個人は、ファンの方と体育館で会えるのは、今回が本当に最後。みんなで一緒に頑張ります」と意気込みを語った。

ダブルスは、日本B代表の中西貴映(上写真・右)/岩永鈴が軸。気になるのは、もう一方のダブルスをどう組むか。ブロックリーグでは星千智/東野有紗が2度起用されているが、東野は松友美佐紀や髙橋美優とのペアでも出場。ほかに全日本総合で4強入りしている大竹望月/髙橋美もいる。混合ダブルスで世界ランク2位の東野は、前衛タイプ。パワーのある星、高さのある髙橋美と組めば、前衛、後衛は明確だ。松友と組む場合は、前衛タイプ同士になるが、チーム内練習では2人が組んで練習することが多く、組み慣れている部分があるという。TOP4準決勝は、互いに戦力のかみ合わせが見えた後の再戦となるだけに、どのようなオーダーを組むのか注目される。

BIPROGYは東野(左)を軸としたペアを起用する可能性も。ブロックリーグでのヨネックス戦は髙橋美優(右)とのペアで敗れたが、相手エースの櫻本/宮浦にファイナルゲームの接戦を展開している

雪辱に燃えるヨネックス
複の主軸・櫻本&宮浦がけん引

ヨネックスは唯一、ブロックリーグをすべて同じオーダーで戦った。特に大きな役割を果たしたのが、第1ダブルスで起用されて5戦全勝の櫻本絢子/宮浦玲奈だ。2022年6月の全日本実業団から組み始めて日は浅いが、急激に連係力を高めており、昨年12月の全日本総合で準優勝。23年の日本A代表に選出された。山田和司監督代行は「櫻本は(別のパートナーと)以前にも日本A代表を経験していて、勝負所を知っている。宮浦も以前に混合ダブルスで日本代表に入っていた経験があり、2人とも能力が高い。ここからは、長い試合を集中して戦い続けられるかが鍵」と高く評価するとともに、プレーパターンを多く持つ相手と長期戦になった場合の終盤戦が課題になるとの見方を示した。

櫻本/宮浦は日本代表として前週のタイマスターズ(Super300)へ遠征。疲労がある中、エースダブルスとしての役割を果たすことが求められる。第2ダブルスは、保原彩夏/杉山明日香。第1、第2のダブルスを入れ替えて臨むかどうかという起用法も気になるところだ。

昨年の総合で準優勝を飾った櫻本(手前)/宮浦。ブロックリーグでも主軸として戦ってきた二人の活躍が、チームの勝敗に大きな影響を与える

しかし、それを可能にするためには、シングルスの勝利を前提にする必要がある。S/Jリーグは第1ダブルス、シングルス、第2ダブルスで2勝を争う。エースダブルスを後ろに回した場合、先に2本を失えば温存したまま敗れることになる。シングルスは、22年途中で日本一を経験している佐藤冴香が移籍(豊田通商に移り、現在は引退してコーチに専念)。2022年日本A代表で同年9月の全日本社会人選手権で優勝を飾った髙橋明日香が新たなエースだ。SブロックのBIPROGY戦では敗れており、名誉ばん回のチャンスとなる。山田監督代行は「短いリーグの期間で、普通は負けたら再戦のチャンスがない。選手も、次は勝ってやると燃えています」とチーム全体で雪辱戦へ意欲を高めていることを明かした。

Sブロックでは単4勝を挙げたヨネックスの髙橋明日香。準決勝ではエースとして負けられない立場で挑む

選手層の厚いBIPROGYが優位と見られるが、ダブルス、シングルスはともにエースが互角に近い力を持っており、実力伯仲の戦いが予想される。特にシングルスは、勝敗を分ける大きなポイントになりそうだ。注目の一戦は、2月11日(土)の13時半から開始(男子は10時半開始)。2月12日(日)に、勝者は決勝戦、敗者は3位決定戦に臨む。

写真/菅原淳、井出秀人

投稿日:2023/02/08
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