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【特別インタビュー】「さらにグローバルで多様な要望に応え、社会に貢献していきたい」ヨネックス新社長 アリサ ヨネヤマ氏に聞く<Part.1>

今年4月にヨネックスの社長に就任したアリサ ヨネヤマ氏。ヨネックス史上初の女性社長であり、まだ35歳という若いリーダーだ。国際的なビッグイベントが続き、盛り上がるバドミントン界でヨネックスはどのような役割を果たし、今後を見据えていくのか。新社長にヨネックスとしての今後の展望などを聞いたインタビュー(バドミントン・マガジン10月号掲載)を特別編としてバド×スピ!で公開。前半のPart.1では、自身のこれまでのキャリア、ヨネックスの強み、今後強化していく分野について語ってもらっている。

――今年4月にヨネックス社長に就任されました。遅ればせながら、社長就任おめでとうございます。

ヨネヤマ ありがとうございます。実は就任直後はアメリカにいて、8月にロサンゼルスから日本に引っ越してきたばかりです。

――アリサ社長は、アメリカでお生まれになって、ずっとアメリカで育ったんですか。

ヨネヤマ アメリカで生まれましたが、小さいころは父である勉会長の仕事の関係で、日本とアメリカを行ったり来たりしていました。数年を日本で、数年をアメリカで過ごすという生活です。2003年からはアメリカで高校、大学、大学院と卒業し、その後もアメリカで働いていました。

――今後は拠点を東京に移すということですね。

ヨネヤマ はい。久しぶりの日本での生活に、いろいろとやることが多くて大変ですが、皆さんに助けていただいています。

――アメリカでは何かスポーツをされていましたか。

ヨネヤマ 子どものころは、テニス、バドミントン、ゴルフ、スノーボード。ヨネックスに関連するスポーツはだいたいやっていましたね。あとは、スキーとバスケットボール、クロスカントリーランニングもやっていました。バスケチームでは、私が、一番背が小さかったです。

――いろいろなスポーツを経験されてきたんですね。アメリカでは、さまざまなことにチャレンジするような環境だったんでしょうか。

ヨネヤマ そうですね。両親もいろいろとやったほうがいいという考えでしたから。水泳、乗馬も少しやりました。中でも、私自身が一番よくプレーをしたのはテニスでしたね。子どもを生んでからはずっとできていませんが、少し落ち着いたら、またやりたいと思っています。

――経歴を拝見すると、カリフォルニア大学バークレー校を卒業され、南カリフォルニア大学大学院修士課程を修了。学業も優秀だったんですね。どのような分野に興味があったのでしょうか。

ヨネヤマ 大学では認知科学を勉強しました。認知科学というのは、AIとか脳科学も含まれて、分野が広いんです。私はその中でも、社会や文化がどのように人の考え方を変えていくのかというところを勉強しました。その後、大学を卒業し、博士号にチャレンジしたかったのですが、どの分野に進もうか悩んだこともあり、一度、大学内にある東アジア研究所に勤務したんです。そうしているうちに、博士号はまた年齢を重ねてキャリアを引退してからチャレンジすればいいと考えが変わり、ビジネスで頑張りたいと思うようになりました。その後、大学院でマーケティングと組織の心理学を勉強しました。大学で勉強した認知科学とビジネスで使えるマーケティングをつなげるような勉強ですね。それもあって、2014年にマーケティングの仕事に就きました。

――そうした経験をヨネックスで生かそうという思いがあったのでしょうか。

ヨネヤマ 実は、私自身はヨネックスには入社しないだろうとずっと思っていたんです。大学院を卒業したあとに勤めた会社は、IT関係のスタートアップ企業でした。新しい会社なので、新しいブランドを立ち上げ、どういうブランドストーリーがあって、何を強みにするか。そういうことをつくっていくことに携わっていました。

――ヨネックスが身近にあったのに、入社しないと思っていたのはなぜですか。

ヨネヤマ 身近にあったからこそというのもありますし、ほかの場所で力を発揮したい、自分だけの力でやってみたいという思いもありました。2年ほどその会社で働いている間は、スポーツもあまり見ていなかったんですが、勉会長と仕事の話をすることがあり、ヨネックスのブランドストーリーに興味を持ったんです。ヨネックスは自社工場で製品を作っていること、選手のサポートやジュニアの育成に力を入れていること、歴史のあるブランドで社会に貢献していること。そういった話を聞いたときに、すごくおもしろいなと思って。でも、まだ世界の中ではヨネックスのことを知らない人も多い。もっとヨネックスのブランドを発信できるような仕事をしたいと思ったんです。

――2016年にヨネックスに入社されて、マーケティング部門に携わっていらっしゃいました。ヨネックスの強みはどこにあるとお考えですか。

ヨネヤマ 『ものづくり』と『イノベーション』ですね。自社工場で丁寧に作っています。開発も自社で行なっているので、お客様の声を聞きながら、もっといい製品を作れるようにと、開発と製造がうまく連携できています。また、製品を作るだけではなく、競技の普及・発展にも力を入れています。それが強みにつながっていると思います。

――そういった強みがある中で、今後、会社としてもっと強化していきたい部分や分野があれば、お聞かせいただけますか。

ヨネヤマ 強みは創業時からずっと変わらず、それを持ち続けながら、もっとグローバルなお客様、多様なお客様に貢献できる社内の体制をつくっていきたいと思います。そこが一番のチャレンジですね。

――それはアリサ社長がこれまで培ってきた経験が生きる部分なのかなと個人的には感じたのですが、いかがでしょうか。

ヨネヤマ そうですね。私が社長になることによって、何かきっかけをつくれたり、私自身の経験を生かして新しいやり方が提案できればいいですね。ただ、それだけではなく、ヨネックスにはそれぞれの分野で経験豊富な社員がたくさんいるので、そういった社員がチームになって新しいことに取り組み、いい形でヨネックスを成長させていきたいと考えています。

Profile アリサ ヨネヤマ

1987年、アメリカ生まれ。カリフォルニア大学バークレー校、南カリフォルニア大学大学院修士課程修了後、2014年1月よりXYZ.COM LLCに入社し、マーケティングマネージャーを務めた。16年3月にヨネックス北米に入社、18年1月より同シニア・マーケティングマネージャー。19年4月、ヨネックス株式会社執行役員(現任)、マーケティング本部副本部長、ヨネックス北米シニア・マネージャーを兼任。21年4月、ヨネックス北米取締役(現任)。同6月よりヨネックス株式会社取締役、マーケティング本部長、グローバル戦略室長を務めている。

取材/バドミントン・マガジン編集部

写真/矢野寿明(インタビュー)

 

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