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【東京五輪】「彼女と一緒に努力をすれば、何でもできると思った。私たちは自分自身を信じていた」(ポリイ)<女子ダブルス・メダリスト記者会見>

東京2020バドミントン競技は、8月2日に女子ダブルスの3位決定戦、決勝が行なわれ、インドネシアのグレイシア・ポリイ/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア)が金メダル、中国の陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジャ・イーファン)が銀メダル、韓国の金昭英(キム・ソヨン)/孔熙容(コン・ヒヨン)が銅メダルを獲得。同日の表彰式後に行なわれたメダリスト記者会見の質疑応答を抜粋してお届けする。

――インドネシアにとって、女子ダブルスでは初めてのメダル、初めての金メダルです。グレイシア選手、勝ったと分かった瞬間にコートで涙を流していました。どんな気持ちでしたか

ポリイ 皆さん、信じられますか? 私自身も、金メダルを取れたなんて信じられません。最後の1点が入った瞬間、「え? オリンピックチャンピオンになったの? 信じられない!」という気持ちで、言葉にならなかったです。1点1点を勝ち取った結果、インドネシアのバドミントン界の歴史を作ることができた。神に感謝します。ずっと応援してくれた皆さん、本当にありがとう。いろんな思いがこみ上げてきて、私たちは感情を抑えることができずに泣いてしまいました。

私たちは、自分自身を信じていました。もっといけるんだと。中国チームも韓国チームもとても強いけれど、私たちも、彼女たちの強敵になり得るんだと思い、試合に集中しました。ポイントを奪うために、すべてのショットにおいて全力投球しました。

――アプリヤニ選手、4年前の2017年に初めてペアを組んだとき、こんな瞬間が訪れると思いましたか? そして今、何を感じていますか

ラハユ まだ実感がありません。2017年にナショナルチームに入ったときは、ちゃんとした選手になるために、いろいろ学びたいという気持ちでした。ただ、最初はグレイシア選手のパートナーになるなんて思っていませんでした。でも、チャンスが与えられた。それからメジャープレーヤーになりたいと思って日々努力し、彼女のふさわしいパートナーになれるように力を注ぎました。

決勝戦はのびのびとしたプレーを展開したポリイ/ラハユが2-0で勝利を飾った

――陳清晨/賈一凡ペア、中国の女子ダブルスにとって13個目のメダルです。中国は、すべてのオリンピックメダルの50パーセント以上は女子ダブルスで獲得しています。ご自身のパフォーマンスはいかがでしたか。また、相手に対してどう思いましたか

賈一凡 金メダルは獲得できませんでしたが、今回の成績、パフォーマンスはよかったと思います。2016年から、2人とも中国ナショナルチームの一員として戦ってきました。昔は、14億もの人口の代表、女子ダブルスの代表に自分がなれるとは思っていませんでした。決勝は完璧ではなかったけれど、それでもいい手応えはありました。でも、負けたということは、私たちに改善の余地があるということです。

陳清晨 決勝戦は、それまでの試合ほどいいプレーができなかったかもしれません。相手が素晴らしかった。そして、彼女たちから学ぶことがたくさんあります。この銀メダルは、私たちが本当に努力した結果です。銀メダルを獲得することすら至難の業です。私たちが東京に旅立つ時は、グループ予選を突破して決勝に進出できると思っていませんでした。ところが、最後のステップまで来ることができた。最後に一番高い場所にあるメダルは取れませんでしたが、インドネシアチームに祝福の言葉を申し上げたいです。

――金昭英/孔熙容ペア、韓国のオリンピック女子ダブルスでは7つ目のメダルです。強い韓国の伝統を継続しなければいけないことについて、どう感じていましたか

金昭英 韓国はバドミントンが強い国です。それはつまり、これまで先輩たちが非常にいい成績を続けてきたということです。ですから今回、銅メダルを取ることができて、すごくよかったと思っています。インドネシアも中国も強いチームです。私たちはそれぞれのゲーム、それぞれのマッチ、そしてそれぞれのポイントでベストを尽くしました。

(左から)銀メダルの陳清晨/賈一凡、金メダルのポリイ/ラハユ、銀メダルの金昭英/孔熙容

――賈一凡選手、グレイシア選手の涙を見て何を感じましたか

賈一凡 若い時から、彼女が試合に出る姿を見ていました。熱心にバドミントンに取り組む姿から多くのことを学びました。30代になっても(ポリイは現在33歳、8月11日で34歳に)、このレベルの試合ができるのは、それだけ彼女が努力してきたからです。(隣にいたポリイから笑顔で肩を押されて)ごめんなさい。あなたの年齢を明かしてしまいましたね(笑)。いずれにしても、これだけ若い選手と対等に戦えること、それだけでも尊敬に値します。そして、彼女たちは、お互いに点数を取っているときでも、負けているときでも、笑顔を絶やさない。そして彼女は、若い選手に笑顔で応えることができる。これは学ぶべきことだと思います。

——グレイシア選手、リオオリンピック後に引退も考えたかと思います。ですが、2017年からアプリヤニ選手とペアを組み、今回、インドネシアに初めてのメダルをもたらすことができました

ポリイ 2016年のリオオリンピックの後、パートナーが負傷して、引退を考えました。でも、チームから必要とされていると感じ、まだギブアップしてはいけない、インドネシアの女子ダブルスチームは、私の肩にかかっているかもしれないと思ったのです。

これまでの選手たちの挑戦をテレビで見ていて、なかなか勝てず、本当につらかったでしょう。女子ダブルスは、中国、韓国、日本のペアが特に強い。でも、彼女たちは絶対に勝つことを諦めなかった。そして、アジア大会、その他の大会でも突破口を見出すことができるようになり、最終的に、アプリヤニ選手に出会うことができました。とにかくずっと、挑戦を続けました。そして、本当に多くの方にサポートしてもらい、これだけのことを成し遂げることができました。

――アプリヤニ選手、ペアを組んで4年が経ちました。グレイシア選手からどんなことを教学びましたか

ラハユ 大人になるということ、成熟するということです。彼女と出会った頃、私は本当に若かった。私は小さい頃から誰かに導いてもらわないと外に出られないような性格でしたが、彼女と出会い、本当に大人になったと思います。前向きになることもできました。この金メダルは、二人で一緒に達成できたことだと思っています。

ポリイ アプリヤニ選手と出会ったとき、チャンピオンになれるメンタリティを持っている選手だと感じました。それで私は、クラブのリーダーに彼女と組みたいと話したのです。当時、彼女に私はこう言いました。「チャンピオンをめざす? あなたに限界まで要求しても、私とやっていくつもりはある?」と。そして彼女は、「覚悟はある」と答えました。私は、彼女と一緒に努力をすれば、何でもできると思いました。彼女と出会えて本当によかったです。

――陳清晨/賈一凡ペア、リオオリンピックの女子ダブルスで中国は4位でした。今回の銀メダルは、中国にとって何を意味しますか。また、改善できるところはどんな部分ですか

賈一凡 前回に比べて、銀メダルを取れたということは、非常に大きな進歩だと思います。1996年に女子ダブルスで金メダルを取って以来、中国の女子ダブルスは常にトップを走っていました。今大会でも、我々が金メダルを取るチャンスはありました。ですが、私たちは、メンタル的にタフではなかったんだと思います。でも正直に言って、私たちはまだ若いです。大きな変更がなければ、私としては、今後も彼女とペアを組んでいきたい。次のパリ大会でも組みたいと思っています。来年には(中国で)アジア大会もあります。私たちは努力を続けます。

陳清晨 私の意見としては、まだ課題があると思います。決勝は、コミュニケーションがうまくいかないところがありました。でも、これからも二人でまとまって練習を続けることで、私たちはよりよくなると確信しています。今日、私たちが負けたことは、私を勇気づけてくれるものです。なぜなら、彼女たちは2016年に負けてから、金メダルを取ることができた。私たちだって、それができると思います。

ともに6月に誕生日を迎え、24歳になったばかりの陳清晨(左)/賈一凡。3年後のパリ五輪でのリベンジを誓った

取材・構成/バドミントン・マガジン編集部

写真/Getty Images

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