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【全日本総合2019】世界選手権ファイナリストが総合の舞台で激突!<ダブルス準決勝>

11月30日に開催された第73回全日本総合選手権(東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)5日目は、各種目の準決勝が行なわれた。ここではダブルス3種目のダイジェストを紹介しよう。

【男子ダブルス】

他種目で1時間超えの試合がいくつかあった中、男子ダブルスの準決勝はともに短期決着となった。頂上決戦に進んだのは、前回王者の園田啓悟(上写真・右)/嘉村健士(トナミ運輸)。そして、2年前の優勝ペア、遠藤大由/渡辺勇大(日本ユニシス)だ。

準決勝では、どちらもタイムテーブルの後半に組まれたが、先に勝負を決めたのは園田/嘉村。相手は準々決勝でA代表の井上拓斗/金子祐樹(日本ユニシス)を2−0で退けて勢いに乗る古賀輝/齋藤太一(NTT東日本)。「今日はサービスまわりで先手を取っていけた。その差だった」とは嘉村。第1ゲームの立ち上がりこそ6−4としたが、ここから少しずつ点差を広げた園田/嘉村が先手必勝のラリーで主導権を握ると、第1ゲームは21-12。第2ゲームはスピードを上げて対抗する古賀/齋藤に、15-8から16-13まで迫られる場面もあったが、後半は落ち着いて相手の攻撃をかわし21-16で勝利。試合時間33分、2−0のストレート勝利にも園田は「内容は満足していません。レシーブもまだまだダメなところがあった」と反省。決勝に向けては「我慢するのがカギ」と語り、総合2連覇に向けて気を引き締めた。

この日の最終試合となった遠藤大由/渡辺勇大と岡村洋輝/小野寺雅之(日本ユニシス/早稲田大)の準決勝。前回に続き4強に入った若手ペアに対し、遠藤/渡辺は大きな壁となって、その勢いをはね返す。

「自分たちのプレーは出せた」とは、日本ユニシスの後輩でもある岡村。しかし、先輩ペアとの真剣勝負では「ちょっとしたミスが相手よりも多くて、そこが点数に出てていた」と、スピード展開についていく場面はあったものの、つなぎ球やネット前のショットを沈められ、後手に回った。第1ゲームは遠藤/渡辺が21-15で先制。続く第2ゲームは、「長いラリーの後は疲れてしまって、単発なミスが多くなった」(小野寺)という若手ペアを突き放した遠藤/渡辺が、21-12に封じて貫禄の勝利。決勝進出を決めた。

試合後、総合への思いを聞かれ「総合タイトルへの思いは、計り知れないくらい大きい」と語ったベテランの遠藤。2年ぶりの総合制覇に向けて、盟友・園田/嘉村との頂上決戦に挑む。

【女子ダブルス】


世界トップレベルがひしめく準決勝。誰が優勝してもおかしくない状況の中、決勝の切符を手にしたのは同種目2連覇中の福島由紀(上写真・奥)/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜)と、総合初制覇に挑む松本麻佑/永原和可那(北都銀行)だ。

福島/廣田は昨年の総合・準々決勝で対戦している志田/松山との勝負。前回は辛くも勝利をつかんだ福島/廣田だったが、今回もスピード勝負を得意とする志田/松山に苦戦。第1ゲームは福島/廣田が落ち着いた試合運びで21-17で先制するも、第2ゲームに入ると志田/松山がテンポを上げて得点を奪い、21-16でファイナルゲームに突入する。

予想通りの接戦となった2ペアの勝負だったが、後半に地力の差を見せたのが福島/廣田だ。「ファイナルゲームでは気持ちを切り替えて、集中力を上げた」(廣田)と、序盤からペースを掌握。前日に櫻本絢子/髙畑祐紀子(ヨネックス)との激戦を演じた志田/松山のスピードは徐々に落ち始め、最後は21-14に抑えた福島/廣田が勝利。底力を発揮した女王が、3連覇に王手をかけた。

世界女王・松本/永原(上写真・右)と髙橋/松友の勝負は、持ち味のアタックを最後まで貫いた松本/永原が制して決勝進出を決めた。

第1ゲームからアグレッシブに攻めた松本/永原。相手はレシーブ力のある髙橋/松友だけに「攻め急がないことを意識した」という永原。その言葉通り、好機をしっかり作ってから連続攻撃を仕掛けてポイントを手にしていく。21-11で奪ったあとの第2ゲームは、先行する髙橋/松友を松本/永原が追い続ける展開となったが、終盤は女王のねばり強さが光る。18-20から松本/永原が20オールに持ち込むと、最後はそのまま押し切って22-20で逆転勝ち。「攻め急いだ部分がたくさんあった」と振り返る松友だが、その点では、リードされても我慢のラリーを続けた松本/永原のほうが今日は一枚上手だった。

「明日は初めての決勝。今日のように自分たちの形を出せれば」と永原。総合・準決勝の壁を突破した二人は、日本の頂点にあと1勝と迫った。

【混合ダブルス】

シード選手が大会序盤で姿を消すなど、波乱が多かった混合ダブルス。その頂上決戦に進んだのは、日本の第一人者である渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)と、今季の全日本社会人王者・西川裕次郎/尾﨑沙織(NTT東日本)の2ペアだ。

混合ダブルス3連覇をめざす渡辺/東野は、B代表で若手の緑川大輝/齋藤夏(早稲田大/ACT SAIKYO)と対戦。「初戦に比べれば、いい形でゲームを展開できた」と渡辺。この日の試合では、世界ランク3位のプレーを存分に披露する。

渡辺のパワフルなスマッシュと、緩急のあるドロップで緑川/齋藤を崩せば、東野も鋭い飛び出しでチャンスを確実に決めた。「自分たちのプレーを出しても決まらなかった」(齋藤)と、新鋭2人が脱帽する強さを見せつけ2−0で快勝。決勝戦に向けて東野は「自分たちの持ち味を出して、3連覇に向けて頑張っていきたい」と意気込みを語っている。

もう一方の山から勝ち進んだのは西川/尾﨑。前日の準々決勝では保木卓朗/永原和可那(トナミ運輸/北都銀行)の途中棄権による勝ち上がりとなったが、全国タイトルを獲得した実力をしっかり発揮。準決勝の相手は日本ランキングサーキット準優勝の金子祐樹/中西貴映(日本ユニシス)だったが、前半から尾崎がネット前で鋭い反応を見せれば、後衛の西川が強烈なスマッシュで主導権を掌握。第1ゲームを21-13で制した西川/尾﨑は、第2ゲームもスピードを緩めずに攻めきり、21-10で勝利。「いいリズムに乗れて試合ができている」と西川。決勝に向けて尾崎は「思いっきりやるだけ」と話し、日本王者に全力をぶつかっていく構えだ。

取材・文/バドミントン・マガジン編集部

写真/菅原淳

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