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【全日本総合2019】世界女王・松本&永原がタカマツ下し、日本一に王手!<女子ダブルス・注目試合-1>

日本一を決める「第73回全日本総合選手権」準決勝が、11月30日に東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で開催された。ここでは、女子ダブルスの注目カードとなった松本麻佑/永原和可那と髙橋礼華/松友美佐紀の試合をレポートする。

【女子ダブルス準決勝】

松本麻佑/永原和可那(北都銀行)②〔21-11、22-20〕0●髙橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)

世界選手権2連覇中の松本麻佑(上写真・左)/永原和可那と、2016年リオ五輪金メダルの髙橋礼華/松友美佐紀。松本/永原が世界ランク3位、髙橋/松友が同4位。東京五輪出場権をかけたレースで熾烈な争いを続けるペアが、全日本総合準決勝で激突した。

第1ゲーム序盤。松本/永原は、前衛を得意とする松友を徹底的に後ろへと押し込み、チャンスを作ってスマッシュを叩き込む。髙橋/松友は、髙橋が後ろに下がればスマッシュで逆襲するが、なかなかいい形を作れない。折り返しは11−6で松本/永原。インターバル明けも徹底した作戦遂行と、ともに170センチを超える長身からの圧倒的な攻撃力を披露。ラリーを取るたびに声を上げて拳を握り、15−11からは連続7得点。松本/永原が21−11と大差をつけて、第1ゲームを奪った。

第2ゲームに入ると流れが変わる。クリアーとロブを主体に組み立てていた第1ゲームから展開を変えて、早めに攻撃するようになった松本/永原。対する髙橋/松友は、松友が絶妙なショートレシーブからスッと前に入り、「タカマツ」の一番いい形、前衛=松友、後衛=髙橋のトップ&バックを形成。2人の真ん中をねらわれたクリアーは髙橋が下がり、攻撃の形を崩さない。折り返しは11−8で髙橋/松友。インターバル明けも得点を重ね、15−10とリードを広げた。

第2ゲーム中盤はミスが目立った松本/永原だが、二人で強い球を打つスタイルは崩さない。ただ、点差は詰めるものの追いつけないまま、20−18で髙橋/松友がゲームポイント。しかし、松友のサービスミスで20−19。松本/永原が連続スマッシュを打ち抜き、ついに20−20で並んだ。次のラリー、松友が前に入りながらの球をネットにかけて、21−20で松本/永原がマッチポイント。最後は、ネット前に詰めた永原がフェイントを入れて前に落とし、髙橋/松友の足が追いつけず。スコアは2−0ながら、50分に及ぶ長い試合が終わった。

世界選手権で2回優勝しているが、いまだ「日本一」の称号を手にしていない松本/永原。悲願達成に向けて最終日に戦うのは、世界選手権の決勝で2回対戦しているライバル、福島由紀/廣田彩花だ。

◆◆◆コメント◆◆◆

松本麻佑(奥)/永原和可那(北都銀行)

永原「全日本総合では準決勝の壁をなかなか超えられず、3回目の挑戦でやっと突破できました。出だしから長いラリーをしっかり我慢し、攻め急がないことを意識して久々にコンビで攻撃する自分たちのかたちを出せた。(タカマツペアは最後の全日本総合になるかも……)2年前の準決勝で負けてしまった印象が強く、それ以前にリオ五輪前に一緒に練習させてもらったのも大きな財産になっていました。ずっと切磋琢磨しながらタカマツさんをめざしてきたので、そこに勝てたのがうれしいです。国内に限らず、国際大会でもずっと準決勝で負けが続いていたので、この突破を国際大会にもつなげていければ。明日は初めての決勝なので、今日のように自分たちのかたちを出せればと思います」

松本「ずっとトップでやってきた2人に勝てたこの試合は大きいです。1ゲーム目は松友さんをなるべく前に出さないようにという作戦通りでした。2ゲーム目は、後半までリードを許しながら、気持ちだけは引かずに離されずについていけた。5点差になっていたら、たぶんきつかったと思います。この大会ではこれまで思うようにいかず、壁があったんですが、突破した以上は明日につなげないともったいないと思います」

髙橋礼華(左)/松友美佐紀(日本ユニシス)

髙橋「今日の戦いは、相手が前に前にきているのに対し、いるところに返してしまったのが敗因だと思うので、もう少し相手を見てプレーできていたらな、というのがあります。(2人で総合に出場するのは最後と思われるが)総合については、自分のなかでは、オリンピックよりも総合で、初めて優勝したときがたぶん、人生のなかで…(涙を流す)、忘れられない試合なので、この大会で自分たちは成長させてもらったなと思います」

松友「(ラリーを構築する)そこまでの展開にはもってきているのに、決め急いだというか、攻め急いだ部分がたくさんあったなと思います。(総合は)高校のころから10年以上、2人で総合に出ていて、そんなペアはほかにはいないと思いますし、ほんとにいろいろな経験をさせていただいたと思います。五輪レースは最後の最後まで2人で、後悔しないように、しっかりやり直して、来年から成績を残していけるように頑張ります」

取材・構成/平田美穂、楊順行、江國晴子、バドミントン・マガジン編集部

写真/菅原淳

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