3月26日、27日の2日間、『令和6年度全国公立高等学校バドミントン研修大会-Supported by TEAM JOSAI-』(後援:スポーツ庁、日本バドミントン協会他、特別協力:城西大学)が、東京と埼玉で開催された。
この大会は、インターハイ出場(県1位)をめざす公立高校の強化と交流を目的に、全国の公立高校関係者らが協力して企画。開催地の教員を中心に準備を進め、開催が実現した。
今年で3回目の実施。東北、北信越、関東、東海、近畿、中国、四国、九州から26都府県計58チームが参加した。
当日は、県2位、3位の学校が全国から集まり、トーナメントで順位を決定。男子は決勝で大宮東(埼玉)が、鹿児島高専(鹿児島)との激戦を制し優勝。女子は川崎総合科学(神奈川)が、折尾(福岡)を振り切って優勝した。


男子優勝の大宮東高校(埼玉)主将の高橋星那選手は、「全国公立研修大会で優勝できたことをうれしく思います。日々の練習の成果が十分に発揮できた大会でした。この優勝の裏では、たくさんの方々が動いてくださり、保護者、監督、コーチの方々の指導と応援が優勝につながったと思います。この結果に満足することなく、6月の関東大会でベスト8に入れるよう、私立相手にしっかり戦えるように頑張っていきたい」と、次の目標に向かっての意気込みを口にしていた。
競技の振興と教育的意義
公立高校は、基本的には県外の中学生の入学ができず、旅費の関係で遠征に制約がある学校がほとんど。また、私立高校とは入試時期や方法に差があるなど、インターハイ出場へ向けては様々なハードルがあるといっていい。
今春の全国選抜大会(石川開催)学校対抗の公立高校の出場は約3割にとどまり、特に学校数の多い都市部ほど私学が強い傾向にある。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、愛知、福岡などの地域は、全国選抜(学校対抗)の代表は、すべて私立高校だった。
しかし、全国の高校のうち約7割を占めるのは国公立の学校である。大会を企画した実行委員会では、各地の国公立高校が活発に活動していくことが、競技全体の振興につながるという考えから、大会を継続していく方向だ。
こうした全国大会以外にも、関東や大阪、千葉などの地域では公立高校大会が開催されており、各地域の公立高校同士で切磋琢磨し合っている。
また、この大会の存在は、部活動のモチベーション向上だけでなく、学業にも好影響をもたらしているようだ。
この大会に出場した宮崎西(宮崎3位)や金沢泉丘(石川5位)は、東京大学、京都大学を含めて多数の国公立大学合格者を出す県内ナンバーワンの進学校。宮崎西の選手は、「もうすぐ受験生となるので、出場するか悩んだが、この機会のありがたみを感じ、初の全国大会だったので出ようと決めた。全国大会に出るというのは、移動の疲れを理由にせずに、最高のパフォーマンスをしなければいけないことだとわかった。勉強優先の高校でも、全国大会に行けるとなったときはみんなで喜び、文武不岐をより一層頑張ってきた。この大会のおかげでバドミントンの熱量がとても上がり、相乗効果で勉強の熱量も高めることができた」と振り返った。また、金沢泉丘の選手も、「進学校がゆえにモチベーション維持が難しい中で、大会があることが支えになった」と振り返り、練習時間の限られた進学校の生徒でも、高い目標を持つことができたようだ。
学校教育活動の一環として行われる部活動。文部科学省「高等学校学習指導要領 総則編(平成30年告示)」には、「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,学習意欲の向上や責任感,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。」(一部要約)という一文がある。今大会はそれを体現するきっかけにもなり、教育的価値の高い機会となったようだ。
【大会実行委員長コメント】
倉野勉侑教諭(京都)・小島治哉教諭(埼玉)
「伝統と歴史のある全国私学大会には遠く及びませんが、公立高校大会として日本初となる全国大会を持続させ、公立・私立関係なく学校運動部活動が盛り上がればいいなと思っています。2026年3月も埼玉県にて開催することが決まっています。昨今の中学部活動の地域展開の流れもくみ、関係諸機関のお力をお借りしながら、サステナブルに取り組んでいきたいです」
文&写真/全国公立高等学校バドミントン研修大会実行委員会