【バドマガ連載】BWF公認審判員が解説『ルール講座!』<第12回>

新型コロナウイルスの影響により、体育館での練習や学校での部活が満足にできない方も多いと思います。バド×スピ!では、利用者の皆さんに少しでもバドミントンの情報をお届けするべく、バドミントン・マガジンで掲載された企画や連載などをアップしていきます。今回紹介するのは、バドミントン・マガジンで連載中の『見て、考える! BWF公認審判員が解説 ルール講座!』です! 普段、なかなか学ぶことが少ないルールについて、これを機会にしっかり覚えていきましょう!

【今月のテーマ】
隣のコートからシャトルが入ってきたときの対応

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公認審判員規程
第3条 第9項 マッチ(試合)中の主審が処理すべき特別な状況
(1)②シャトルが近隣のコートから侵入してきても、自動的に「レット」とみなされないものとする。もし、侵入してきたシャトルがプレーヤーの邪魔になったり、注意をそらしたりしないと主審が判断した場合は「レット」をコールしない。


イラストでは、Aくんのレシーブミスしたシャトルが、隣のコートに入った場面から始まります。コートとコートの間隔が狭い体育館では、よくあるシーンです。

本来であれば、Bくん側の主審は、すぐにシャトルの存在に気づかないといけません。主審の後ろからシャトルが飛んできたとはいえ、広い視野でコートを見渡していれば、この侵入を確認できたはず。このあと、AくんとBくんが激突しそうになりましたが、これが起こった原因には主審の確認ミスがあります。主審がいち早く気づいていれば、Aくんがコートの中に入る前に制止することができたからです。もちろん、主審に悪気があったとは思いませんが、ちょっとした確認不足が選手のケガにつながる可能性もあります。厳しい言い方になりますが、主審として見逃してはならないシーンです。また、この後の対応も、後手に回ってしまったのが残念です。

コートにシャトルが侵入した場合、公認審判員規程には、近隣のコートからシャトルが侵入しても「自動的にレットとみなさない」と記されており、第9項(1)②の場合であれば主審がシャトルに気づいても「レット」のコールはしません。“プレーに支障がなければ”「レット」をコールしなくてもいいわけですが、逆をいえば、プレーに支障をきたすと判断すれば、即座に「レット」とコールをします。この状況に気づかなかったり、判断が遅れることで、たとえばBくんがシャトルを踏んでケガをしたり、イラストのように激突するような場面が起こります。

イラストに戻りましょう。Aくんがコートに侵入してシャトルを拾うとき、ラリーをしていたBくんがAくんのほうに近づきます。「危ない」と声を出したことで、激突を避けることができましたが、主審の判断としてはAくんが勝手にコートに入ったとき、そしてBくんが相手の返球に動き出した時点で「レット」とコールするべきでした。

Aくんの行動は、競技規則・第14条・レット・第2項(7)「いかなる不測の事態や突発的な事故が起きたとき」を適用するシーンでもあります。仮にAくんのシャトルがコートサイド付近に入り、ラリーに支障がないと判断した場合、その時点で主審は「レット」をコールしませんが、Aくんが不用意にコートに侵入し、明らかにプレーの妨げになる場合は、この競技規則を適用し「レット」をコールします。なお、Bくんが「レットですよね?」と質問していますが、この後にレットと判定すれば「Bくんの質問でレットになった」と思われてしまいます。これは選手に不信感をもたれる原因にもつながるので注意して下さい。

今回のケースでは、主審がラリーにばかり気を取られて起きてしまいました。選手は、主審が「レット」のコールをするまでラリーを中断できないので、主審はこのような状況で適切に対応できるように、日頃から視野を広く保ち、コート全体やコート周辺にも気を配ることを心掛けましょう。

ちなみに、過去に私が主審をした試合で、ラリー中に天井から何枚かの紙吹雪がヒラヒラと落ちてきたことがありました。コンサートなどのイベントで使用したものだと思いますが、このとき、私は躊躇なく「レット」をコール。選手が紙吹雪に気づいた時点でプレーに支障をきたしたと判断し、不測の事態として「レット」をコールしています。

監修/遠井 努(日本協会理事:競技審判担当)

イラスト/丸口洋平

※この連載は2020年のバドミントン・マガジン5月号に掲載されたものです


投稿日:2020/07/16

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