【バドマガ連載】BWF公認審判員が解説『ルール講座!』<第9回>

新型コロナウイルスの影響により、体育館での練習や学校での部活が満足にできない方も多いと思います。バド×スピ!では、利用者の皆さんに少しでもバドミントンの情報をお届けするべく、バドミントン・マガジンで掲載された企画や連載などをアップしていきます。今回紹介するのは、バドミントン・マガジンで連載中の『見て、考える! BWF公認審判員が解説 ルール講座!』です! 普段、なかなか学ぶことが少ないルールについて、これを機会にしっかり覚えていきましょう!

【今月のテーマ】
シャトルがラケットをかすめたときの対応

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競技規則
第13条フォルト 第3項(9)
インプレーのシャトルが、プレーヤーのラケットに触れて、相手のコートに向かって飛ばなかったとき。


イラストのような状況は、選手のレベルを問わず試合中によく見られます。ときには選手同士で「当たった」「当たってない」と口論になることもあるので、主審はしっかりと対応しましょう。

ここでは、Aくんが打ったシャトルが、Cくんのラケットをかすめた部分に注目してください。競技規則・第13条・第3項(9)にある通り、「ラケットに触れて、相手コートに向かって飛ばなかった」ため、本来なら主審がすぐに「フォルト」とコールしなければなりません。しかし、主審はラケットに当たったと判定しておらず、プレーは続行。ラケットに当たったと判断したA&Bくんは、Dくんの返球には反応しませんでした。

この場合、主審がコールしなかったことがトラブルの原因の一つですが、公認審判員規程・第4条・第7項には「競技規則に違反していたどうかわからなかった場合、『フォルト』とコールすべきではなく、そのままゲームを続行させる」とあるため、わからない(気づかない)ときはコールをしません。つまり、A&Bくんが当たったと判断しても、主審が判定をしない限りプレーを続けなければなりません。コールされないのに途中でプレーを止めると、イラストのように「イン」と判断されたり、シャトルを手で取ったりすることでフォルトになることもあるので、選手の皆さんは注意してください。

この後の対応も、考えてみましょう。主審はA&Bくんに質問をされていますが、当たったかが確認できなかった場合は「さわっていません」と応えるのが適切です。たとえ不安になっても、主審からCくん、Dくんに「さわっていましたか?」と聞くことがないようにしてください。

ただし、Cくん側から「当たっていました」と申告された場合は、この限りではありません。このときはC&Dくんをフォルトにして、A&Bくんのポイントにします。

これと合わせて、競技規則・第13条・第3項(8)についても解説しましょう。イラストを見たとき、皆さんは“Cくんがさわった後にDくんが打ち返した”ことに対するフォルトを考えたのではないでしょうか? それが第13条・第3項(8)「インプレーのシャトルが、プレーヤーとそのパートナーによって連続して打たれたとき」のフォルトとなります。通称“ダブルタッチ”といわれていますが、これは2人が順にシャトルを打つことを禁止するルールです。ほとんど見かけることはありませんが、バレーのようにトス→スパイクというプレーをしてはいけない、ということです。これも覚えておきましょう。

イラストの主審はフォルトを見逃しましたが、それ防ぐためには、やはりシャトルをしっかり目で追って目視することが大切です。男子ダブルスなどのラリーは速すぎて判断できないと思うかもしれませんが、ちゃんと目視すれば、当たったかどうかは判断できます。また、ラケットに当たった“音”も、判定するのに大事な要素。目視と音でフォルトの判定をすることを心がけてほしいと思います。

また、シャトルが当たったかどうかの判断と同時に、「フォルト」とすぐにコールすることも意識してください。ラリーが続いてしまうと、言い出すタイミングを逃すことがあります。私からのアドバイスとしては、シングルスの試合などでシャトルが前に飛ばなかった瞬間に「フォルト」とコールするクセをつけておくことです。ダブルスの速いラリーでも、ミスの瞬間に自然と「フォルト」と出てくるレベルまで達してほしいなと思います。

コラム:審判台の上から

国際大会などに派遣されると、審判員は互いの技術を高め合う意味で、休憩中でも一緒に試合を見ながらディスカッションをしています。たとえば、いつもギリギリの高さでサービスを打つ選手を見ているときは、「あの選手のサービス(の高さ)はどう思う?」「いまのはセーフだと思う? それともフォルト?」と、一つひとつのプレーに対して、意見交換をすることも。あくまでも休憩中の何気ない会話ではありますが、こういったコミュニケーションが、ルールを判断するスタンダードをつくることにもつながります。

サービスに関していえば、サービス高測定器が導入されたことで、サービスの高さの判断ばかりに注目が集まります。しかし、審判員の間では「いまのは足が動いていたぞ」「ラインを踏んでいたよね」という、高さ以外のフォルトに関する会話も増えています。サービスジャッジは、サービス高測定器があることで基準のラインに意識が傾きがちですが、こういった会話があることで「自分はどんなフォルトも見逃さないぞ」と気持ちが引き締まります。

また、試合の振り返りなどでよく出てくる反省は「フォルトを取った」ことよりも、「取れなかった」ことのほうが多いです。本来はフォルトだった行為を見逃したり、選手の駆け引きに気づかなかったり…そういった反省を繰り返しながら、みんなで共有し、審判員としてのスキルを高めています。

監修/遠井 努(日本協会理事:競技審判担当)

イラスト/丸口洋平

※この連載は2020年のバドミントン・マガジン2月号に掲載されたものです


投稿日:2020/06/23

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