【バドマガ連載】BWF公認審判員が解説『ルール講座!』<第7回>

新型コロナウイルスの影響により、体育館での練習や部活などの機会が減っていると思います。バド×スピ!では、利用者の皆さんに少しでもバドミントンの情報をお届けするべく、バドミントン・マガジンで掲載された企画や連載などをアップしていきます。今回紹介するのは、バドミントン・マガジンで連載中の『見て、考える! BWF公認審判員が解説 ルール講座!』です! 普段、なかなか学ぶことが少ないルールについて、これを機会にしっかり覚えていきましょう!

【今月のテーマ】
足が痙攣(ケイレン)したとき、給水・汗拭きの対応

ルールブックをCHECK!

競技規則
第16条プレーの遅延 第4項(1)
プレーヤーはどんなことがあっても、体力や息切れを回復できるように、またはアドバイスを受けるためにプレーを遅らせてはならない。


国内大会などでは、連戦による体力の消耗により、ふくらはぎなどがケイレンする(つる)ケースはよくあります。ルール内の解釈でいうと、このケイレンはケガや病気に当てはまらず、「体力不足」という判断になります。つまり、イラスト内のBくんがケイレンして動けない(回復を待つ)状況は、第16条・第4項(1)「プレーの遅延」に当てはまります。

これに対して、主審は競技規則・第16条・第4項(2)「主審はいかなるプレーの遅延についても、それを判断・処置する唯一の決定者である」という条文にしたがい、まずはプレーが継続可能なのか、それとも棄権をするのかを確認しなければなりません。

本人が棄権をしないのであれば、「プレーを続けてください」と再開をうながします。それでも立てない、動けない状況が続き、遅延行為・不品行な振舞いなどと判断した場合は、第16条・第7項(1)を適用し、違反したサイドに警告をする、もしくはフォルトにし、イエローカード、レッドカードを使用することになります。それでも試合を続行しないようであれば、第7項(2)によってレフェリー(競技役員長)に報告します。

ケイレンした選手に対して対応が厳しいと思うかもしれませんが、主審は常に両選手に公平な立場でいなければなりません。Bくんの足がケイレンした状況も、見方を変えれば体力で上回ったAくんの頑張りによって生まれた結果です。それなのに、主審の判断でBくんが動けるようになるまで待つのは、Bくんを応援していることになりませんか? Aくんが不公平に感じる可能性も十分に考えられます。

ケイレンしていると主審が判断したなら、まずは続行・棄権の確認をとり、続行の場合は速やかに試合を再開させてください。イラストではBくんの足がケイレンしてから「5分以上経過」とされていますが、実際は待つことはありませんので注意しましょう。

イラスト前半の、給水と汗拭きの要求についても解説します。選手から給水や汗拭きの要求があった場合、プレーが不当に中断しない範囲であれば、主審の判断によって許可を出します(公認審判員規程第3条・第10項[3])。主審は選手の汗や、その前のラリーの状況、体育館の温度や湿度の状況などから総合的に判断し、許可するときはもう一方の選手にも給水や汗拭きをうながしましょう。中には「いまは必要ない」と断る選手もいますが、そういった選手ほど、次のラリー後に要求してきます。適当であれば許可を出しますが、間をとりたいという理由などで要求する選手もいるので、主審は簡単に「どうぞ」というのではなく、適当でなければプレーを継続させてください。

前述したとおり、給水・汗拭きの判断材料には、その前のラリーの回数や、試合の流れなどを把握しておくことが大切です。連続失点やミスが続いた選手は、流れを変えようと汗拭きなどを要求しますが、これはラリーの流れをつかんでおかないと、本当にその要求が必要なのかが判断しにくくなります。また、体育館内の気温なども重要な判断材料です。「この気温ならどこまで汗を拭かずにやれるか」「一回拭いた後、どれくらい頑張れるか」と考えることで、汗拭きの許可を出す判断もしやすくなってくるはずです。

選手の皆さんも、許可されれば給水・汗拭きをしてもいいわけですが、「すばやいタオルの使用、給水」が前提です(公認審判員規則より)。休む時間ではないので、素早くすませて、すぐにコートに戻るようにしましょう。

監修/遠井 努(日本協会理事:競技審判担当)

イラスト/丸口洋平

※この連載は2019年のバドミントン・マガジン12月号に掲載されたものです


投稿日:2020/06/10

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