【バド×スピ! 連載〈第8回・特別編〉】”一人でできるコート外での取り組み”から奈良岡功大の強さに迫る!

奈良岡功大「一本集中」小学生時代から頭角を現し、全国大会の男子シングルスにおいて“史上初”や“最年少記録”などの偉業を次々と成し遂げる奈良岡功大(浪岡高校1年)。月に一度の連載では、そんなスーパー高校生の日常や素顔に迫っていく。連載第8回は特別編として、奈良岡選手が強くなるために日常的に行なっていることをクローズアップ。“一人でできるコート外での取り組み”から、16歳の強さの秘密に迫る。また、Q&Aのコーナーでは「スマッシュ」に関する読者のお悩みに答えてもらった。

皆さん、こんにちは!

今回は編集部から「コート外で一人で行なっている取り組み」というテーマをもらったので、僕が小さいころから自宅で日常的に行なっていることをお話ししたいと思います。

その取り組みは主に三つあります。一つ目は、“しゃもじ”を使ったトレーニングです。これはお風呂の時間に行なっているもので、“しゃもじ”をラケットに見立ててリストスタンドをして握り、湯船の中で振っています。

その振り方は大きく分けると4種類。フォアハンドでは縦スイングと横スイング、バックハンドではサムアップした通常の握りのスイングと、握り方を変えて違うショットをイメージしたスイングです。回数は、合計2000回くらい。小3の夏ごろから始めたこのトレーニングは、リスト(手首)が鍛えられるのはもちろん、ケガもしにくくなると思います。また、これをやることで、インパクト時に“しっかり当たったな”、“このショットは当たっていないな”という違いがわかるようになりました。そのため、シャトルの芯をしっかりとらえて、力を伝えて打てるようになってきたと思います。

小5のとき。しゃもじには「己に克つ!」の文字が書かれている
小5のとき。しゃもじには「己に克つ!」の文字が書かれている

二つ目は、お風呂上がりのストレッチです。練習のときのストレッチは実際の動きに合わせて筋肉を温め、伸ばしていくダイナミックストレッチですが、自宅では反動や弾みをつけずに、ゆっくりと筋肉を伸ばしていくスタティックストレッチを行ないます。これは、ケガの予防や、パフォーマンスアップが目的。肩周りなどの可動域を広げて、体全体を使って力強いショットを打てるようになることをめざしています。自宅でしっかり時間が取れるときは、30分くらいじっくりと。時間が取れないときは大事なところだけ行ない、翌日の朝練前に他のところを補うようにしています。

そして三つ目は、自分の部屋で行なう壁打ちです。小学1年生の後半から始めて、多いときは学校に行く前、帰って来てから、寝る前までやっていました。中学生くらいから行なう頻度は減りましたが、いまも勉強の合間などに取り組んでいます。壁打ちはしっかり力を入れて打たないと返ってこないので、自然にリストスタンドをして打つことを覚えられたと思います。あとは、壁に折り紙を貼って、1球ごとにねらって打っていましたね。

小5のとき。壁に4枚の折り紙を貼り、1球ごとにねらって打っていた
小5のとき。壁に4枚の折り紙を貼り、1球ごとにねらって打っていた

意識していたのは、相手をイメージしながら打つこと。小学生のころはリー・チョンウェイ選手(マレーシア)や林丹選手(中国)が相手だったら…と考えてやっていました。でも最近は、トップ選手をイメージするよりも、ショットの確認をしたいときなどに行なっています。ただ単に打つ、ということはないですね。イメージや意識をしてやらないと、効果がないと思うので。

中2のとき。壁が変わっているのは、壁打ちによって穴が開いたからだそう
中2のとき。壁が変わっているのは、壁打ちによって穴が開いたからだそう

以上の三つが、僕が日常的に行なっていることです。これらを継続して行なってきたことで、いまの僕の”土台”や”基本”がつくられたといえると思います。練習以外の時間でも、一人でできることはたくさんあります。そういったものを積み重ねていくことも、強くなるためには大事なんだと思います。

約1カ月後には、全国高校選抜大会(3月25日~28日/愛媛県松山市)が行なわれます。チームの目標は団体戦優勝。いまはその目標に向かって、士気を高めながらそれぞれの課題に取り組んでいます。同じヤマには強豪の埼玉栄がいますが、どのチームが相手でも、誰が相手でも、僕らは一生懸命やるだけ。挑戦者の気持ちで向かっていきたいです!

僕個人の目標としては、シングルスとダブルスでも優勝して3冠を果たすこと。一戦一戦を全力で戦って、最後に笑顔で終わりたいです。

奈良岡功大選手に聞く!
なんでもQ&A

Q.どうしたらスマッシュが速くなりますか? 手首のスナップや、筋力が大事なのでしょうか。奈良岡選手はどうやって鍛えているのか教えてください!(匿名希望)

A.速いスマッシュを打つために一番大事なのは、体の使い方だと思います。筋力をつけることだけに集中すると体が重くなったりして、他のショットや動きにも影響が出る可能性があります。なので、手首の強さや筋力以上に、体をうまく使って打つことが大事。その打ち方は人それぞれ合うものがあると思うので、「こうなりたい」という選手の動画を見てマネをしたり、自分のフォームと比べたりして、自分が「これだ!」と思うものを見つけてほしいです。そのフォームがわかったら、スマッシュを何本も打って、体になじませるといいと思います。あとは、可能ならジャンプをして打てるとよいでしょう。角度がつくだけでなく体重も乗るので、ジャンピングスマッシュのほうが速くなる実感はありますね。

スマッシュを速くするには、「腕だけでなく、体全体をうまく使って打つことが大事」と奈良岡
スマッシュを速くするには、「腕だけでなく、体全体をうまく使って打つことが大事」と奈良岡

★奈良岡功大選手への質問募集!★

送り先…◎Eメール:bad@bbm-japan.com ◎FAX:03-5643-3841◎郵便:〒103-8482(株)ベースボール・マガジン社 バドミントン・マガジン編集部&バド×スピ!編集部「一本集中 Q&A」係まで。さまざまな質問、お待ちしています!

Profile

奈良岡功大◎ならおか・こうだい 2001年6月30日生まれ、青森県出身。浪岡南小-浪岡中。小学時代は全国小学生大会単3連覇、全国ABC大会単5連覇を達成。中学時代は全国中学校大会単3連覇という前人未踏の記録を打ち立てた。同年9月には、高校2年までが出場する全日本ジュニアで最年少V。そのほかにも、全日本総合本戦出場や日本ランキングサーキット単3位など、シニアの舞台でも存在感を放つ日本のホープ。日本B代表。173㎝67㎏。血液型B。

構成/バドミントン・マガジン編集部

 

投稿日:2018/02/28
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