【リオ五輪】池田信太郎のリオ五輪レポート③  日本勢のスタートダッシュ!

皆さん、こんにちは。

日本選手が絶好調ですね! ダブルス3ペアはすべて予選リーグ突破を決めましたし、シングルスの佐々木選手、奥原選手も初戦で勝利をあげています。見ていて非常に頼もしいです。チーム全体がいい流れに乗ることで、選手のパフォーマンスにも好影響が出ることがありますが、今回はそういったことよりも、各選手・ペアがしっかりとプレーできている印象が強いです。

 

今回のスタートダッシュの要因の一つは、事前によい準備ができていたことでしょう。とくに大きかったのが、直前の国内合宿ではないでしょうか。選手や関係者に聞いたところによると、ケガ人が出ないでメニューをしっかりとこなすことでき、非常に充実していたようです。じつはロンドン大会の直前合宿はケガ人が多く出て、後半はメニューを組み替える必要が出てしまいました。その点では、今回はピーキングがしっかりとできていると思います。

 

加えて、環境の問題もあると思います。一つは、今回使用しているシャトルが飛びにくいことです。メーカーによって「シャトルの飛び」は微妙に変わるのですが、選手の口からも今回のシャトルは飛びにくいというコメントが聞かれています。

 

スマッシュが得意な選手は、シャトルがより飛んだほうがスピードも出やすいので都合がよいですが、日本選手はどちらかというとパワフルなスマッシュよりも、守備からラリーを組み立てることを持ち味とする選手が多いです。シャトルが飛びにくければ、スマッシュのスピードが出にくいため、レシーブがしやすくなる。ラリーが続き、自分たちのよさを出しやすくなるのです。

 

もう一つは、会場内の(空調の)風の影響があまり大きくないこと。大会前は、風が不安定になるのではという心配もありました。ですが試合を見ていても、ロブがかなりオーバーになったり短くなったりしていませんし、見送った球がインだったというケースも、とくに目立つわけではありません。

 

風の影響を受けやすい日本選手にとっては、毎年スーパーシリーズで経験しているシンガポールやインドネシアの体育館のほうが、風が強いのでプレーしにくいはず。したがってこの会場では、マイナスの要因が減っているといっていいでしょう。

 

オリンピックは4年に一度の大舞台なので、プレッシャーも非常に大きいですし、いつものプレーをするのが本当に難しい。男子ダブルスでは、昨年の世界選手権を制したセティアワン/アッサン(インドネシア)が予選リーグを突破できませんでしたし、世界ランク1位の李龍大/柳延星(韓国)、優勝候補の一角・傅海峰/張楠(中国)も2位でリーグを通過しています。そんななかで、しっかりと結果を残している日本選手は素晴らしいと思います。

 

明日も日本選手の頑張りを期待しましょう。それでは今日はこの辺で!

 

池田信太郎レポート
3試合とも危なげない戦いぶりで1位通過を決めた髙橋(右)/松友
池田レポート
ミックス歴わずか1年の数野/栗原も決勝トーナメント進出を決めた

 

 

池田信太郎

いけだ・しんたろう◎1980年12月27日生まれ、福岡県出身。九州国際大付高―筑波大―日本ユニシス。07年世界選手権の男子ダブルス3位、08年には全英OP男子ダブルスで日本勢21年ぶりの4強に進出。08年北京五輪(男子複)、12年ロンドン五輪(混合ダブルス)に出場するなど、長年日本のダブルス界をけん引した。15年9月に現役引退。

 

投稿日:2016/08/14
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