【編集部ブログ】反省の先に。

あくまでも想像の話。

仮に今回の一件が、マレーシアで、リー・チョンウェイが起こしたものだったらどうだろうか。マレーシアの民は怒るかもしれないが、国は彼を守るのかもしれない。なぜならチョンウェイは、国にとって利益(メダル)をもたらす存在だから。悪いことは、悪い。でも、五輪とそれとは別…。チョンウェイがいれば、最終的には民も喜ぶんだから…なんて、あっさり復帰を認めることも考えられる。

 

日本はどうか。公人ならまだしも、一般人がTwitterやFacebookで「炎上」し、それらがテレビや新聞に書き立てられる世の中だ。ちょっとした火遊びも悪。ちょっとした失敗も悪。許してくれるのは「俺も昔はワルだったんだよな〜」と、自分の昔を懐かしみながら語ってくれる“優しい”大人たちだろう。

 

違法賭博が法律を犯すものである以上、当事者たちが今回の一件で失ったものは非常に大きい。五輪メダル候補という有名税は、予想外に高く付いた。ただ、忘れていけないのは、彼らはあくまでもスポーツ選手であって、悪口をパワーに変えられるような器用さは持ちえていないということだ。彼らは芸能人ではなく、この経験が“芸(バドミントン)”の肥やしになることもない。コートから離れる惜しい時間が、ただ過ぎていくばかりだ。

 

人は、叱られて育つ。今回は周りの大人が本気で叱り“続けなかった”ことが招いた災いとも考えたい。2人だけの問題とせず、全体が今後の彼らをサポートする体制を整えてほしい。

もちろん、彼らも叱られることから逃げてきたことを猛省するべきだが、頭を下げ続けては何も始まらない。口を閉ざし続けては誰も動かない。素直に反省し、素直にお叱りを胸に留めたとき、物事は自然と動き出す。

 

いま彼らに対して願うのは、未来を思い描いてほしい、ということだ。今後の活動に制限があることは覚悟しなければいけないが、「夢」まで縛り付けられる理由はない。東京五輪の金メダルでもいい。世界一の名誉でもいい。シンプルだが、夢があるから人は頑張れる。夢が持てる喜びを改めて感じたとき、再びスタートラインに立てるのだと思う。

 

バドミントン・マガジン編集部・和

投稿日:2016/04/19
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