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【特別インタビュー】「常にハッピーに、そしてポジティブに」トニー・グナワン

トニー・グナワン

今年度からS/Jリーグ・トナミ運輸のコーチに就任した、シドニー五輪・男子ダブルス金メダリストで、2度の世界選手権優勝経験を持つトニー・グナワン。バドミントン王国・インドネシアで生まれ育ち、母国に栄光の金メダルをもたらした男は現在、アメリカでバドミントンアカデミーを経営しながら、未来のバドミントン選手の育成に励んでいる。異国の地で独自の道を歩み続けるトニーに、現在の状況や、選手育成に関する話を聞いた。

 

トニー・グナワン◎1975年4月9日生まれ、インドネシア出身。2000年シドニー五輪ではチャンドラ・ウィジャヤとのペアで男子ダブルス金メダルを獲得。2001年にはハリム・ハリアントとのペアで世界選手権優勝。2002年にアメリカに移住し、2005年の世界選手権(アメリカ・アナハイム)では、アメリカ代表としてハワード・バックとともに出場し、2度目の世界一に輝いた。現役引退後もアメリカでバドミントンアカデミーを経営し、選手育成に励んでいる。2017年からトナミ運輸のコーチに就任。

 

取材協力&写真提供/ヨネックス株式会社

 

強くなるには、 自分に問い続けることが必要

 

−−まずは、インタビューを受けていただいてありがとうございます。トニーさんがインドネシアからアメリカに住み始めて、何年がたちましたか?

 

トニー「2002年からなので約15年ですね。現在は2011年から始めたバドミントンアカデミーの運営をしています。もう6年もたっていますね。私もフルタイムで教えていますが、アカデミーの生徒は6歳から26歳までと幅広いです。始めた当初は生徒も多くなかったですが、現在は100人ほどがいます。選手のレベルも上がっているので、教えている私も楽しいですよ」

 

−−アカデミーを運営するうえでの楽しみは?

トニー「バドミントンを教えるのは楽しい。自分がプレーするのとはまったく違いますから。勝ち負けではなく、生徒が成長していくことが何より楽しみなんです。バドミントンは本当に人生の小さな一部でしかありませんが、プロでもアマチュアでも、この競技から学べることはたくさんあるし、それを仕事、生活、人生に生かすことができると思います。生徒には、そういうことを学んでほしいんです」

 

−−プロ選手として活動できそうな生徒はいますか?

トニー「そうですね。可能性がある生徒もいますよ。いまトップでも活躍できる可能性がありそうなのは、3人ぐらいですかね」

 

−−強い選手になるために必要なこととは?

トニー「まずは長期のゴール(目標)、短期のゴールを設定することですね。試合や練習でいえば、自分の適性、対戦相手の長所や短所を常に分析することでしょうか。自分を分析したときに何が足りないのかを考えて、その部分を練習で克服していくことができるかどうかは大事ですよね。そうやって自分に何が必要なのかを、問い続けることは重要です」

 

−−練習に取り組む上での心構えを教えてください。

トニー「私はいつもこう思うようにしています。朝起きたときに、オプション(選択肢)が2つあります。楽しく過ごすか、それとも自分が不幸だと思って過ごすか。どのみち練習はしないといけないのであれば、楽しくやったほうがいいですよね? たとえ気分や体調が優れなくても、楽しんでやったほうが絶対いいというのは間違いない。常にハッピーに、そしてポジティブに。練習はこれが大事です」

 

−−試合や大会前のプレッシャーを克服するには?

トニー「しっかりと計画を立てること。計画通りにことが進めば、プレッシャーや緊張というのは自然となくなります。問題はその計画がうまくいかなかったとき。そのときはあきらめずに、考え続けることが大切です。5−11で負けていても、次の1点をどのようにとるか考える。1点をとられても、また次のポイントをどうやってとるか考える。うまくいかなくても落ち込まず、1ポイントごとにプランを白紙にして、新しい計画を考えます」

トニー・グナワン
6月に日本に来日したトニー・グナワン。インタビューでは気さくに応じてくれた

 

 

私たちの時代は選手、コーチ、協会が一生懸命に協力していた

 

−−最近のインドネシアは、以前に比べると勢いがないように思います。

トニー「世界的に見ればインドネシアは強いけど、過去の成績に比べれば確かに勢いは弱まっているかもしれない。私はいまのインドネシア選手や協会とはほとんど関わりはないので、何かをいえる立場ではないけど、私の時代の話でいえば、選手、コーチ、協会が信頼し合い、目標のために一生懸命に協力していたと思う。いまはどうかわからないけど、それが当時の強さの秘けつだったと思います」

 

−−インドネシアが強くなるには、何が必要だと思いますか?

トニー「感謝の気持ちは必要でしょう。もし私が試合に勝ったとしても、それは私一人で勝ったのではありません。コーチ、トレーニングパートナー、協会、すべての人の協力があってのもの。だからこそ、その人たちに感謝しないといけない。私はダブルス選手だったけど、シングルス選手からも学ぶことがあると思っていましたよ。そうやって、いろんな人から学んで勝つことができたわけですから、感謝することは本当に大切です」

世界選手権では2度優勝を果たしたトニー(右)
世界選手権では2度優勝を果たしたトニー(右)

 

−−現役時代と現在のバドミントンに違いを感じるか?

トニー「私が現役のときはもう20年前になるかな?(笑) 大きいのはポイント制度が変わったこと(2007年に現在のラリーポイント制に変更)。それによって試合のスピードが変わったと思います。1ポイントの重みが増したことで、より試合に集中する必要性が増した。もちろん以前も選手は集中してプレーしていたが、いまはより長く集中力を持続できる選手にアドバンテージがあるかなと思います」

 

−−ちなみに、あなたの盟友でもあるチャンドラ(・ウィジャヤ)やリッキー(・スパクジャ)、など、昔の仲間と連絡をとっていますか?

トニー「チャンドラとはいつも連絡をとっているかな。テキストでのメールだったり、電話をしたりもする。インドネシアに戻ったときは必ず会うようにしているよ」

トニーグナワン
2005年世界選手権では、五輪でペアを組んだチャンドラ(左から二人目)と決勝で戦い、見事金メダルを手にした(左がシギット・ブティアルト、トニーの右隣がハワード・バック)

 

−−では最後に、日本のバドミントン愛好者に向けて

トニー「日本のバドミントンのレベルはいま非常に高くなっています。オリンピックで金メダルを獲得するくらい、強い選手が多いのに驚いています。学生のバドミントンの試合も見ましたが、本当にレベルが高くて素晴らしい。我々アメリカは日本にはまだまだ届きませんが、将来、大きな舞台で戦うことを楽しみにしています」

 

構成/バドミントン・マガジン編集部


投稿日:2017/08/21
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